|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第112回学術集会(平成18年10月29日(日))
【一般演題】
卵巣悪性腫瘍1 パクリタキセル(PTX)投与後にHypersensitivity Reactionを認めた卵巣癌の4症例
小倉 麻子, 礒西 成治, 飯田 泰志, 永田 知映, 平間 正規, 小林 重光, 落合 和彦
東京慈恵会医科大学付属青戸病院産婦人科
卵巣癌症例では,PTXのHypersensitivity Reaction(HR)は頻繁であると報告され,重篤例では治療継続困難になる.我々は当院におけるHRの4例についてreviewしたので報告する.<対象>2004年3月から2006年5月までの卵巣癌28例にPTX180mg/m2+Carboplatin(AUC 6)(TJ療法)を行なった.治療は塩酸ジフェンヒドラミン50mgにリン酸デキサメタゾンナトリウム20mgと塩酸ラニケジン50mgを前投与したのち,PTXの3時間点滴静注を行なった.<結果>28人中,HR発現は4例(14.3%)に認められた.年齢は23〜51歳でいずれも閉経前症例であり,BMIは18〜22と肥満体質例はなかった.症状は,顔面紅潮,呼吸苦がPTX投与直後に全例に出現した.grade3以上の症状でありステロイドにより改善を得た.PTXをDocetaxel(DTX)に変更したが,HR認めず治療継続可能であった.<結論>卵巣癌治療ガイドラインでは,PTXのHR発生率は4%としているが,その3倍以上に認めた.4症例とも,HRの危険因子とされている閉経後,肥満,呼吸機能不全既往例(Caner,Chemother,Pharmacol 2005)ではなかった.PTXとDTXのcross-sensitivity(Gynecol,Oncol 2006)は,いずれにも認めなかった.4例にアルコール過敏症の既往はなく,PTX溶剤によるHR発症も否定的であった.更に,HRについて文献的考察を加え報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3)
318-318, 2006
|