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		第112回学術集会(平成18年10月29日(日))
  
		【一般演題】 
		卵巣悪性腫瘍1 Mural noduleを伴った粘液性卵巣腫瘍の1例における病理組織学的検討
  
		千賀 彩加, 菊地 範彦, 伊東 和子, 堀内 晶子, 宮本 強, 芦田 敬, 塩沢 丹里, 小西 郁生 
		信州大学産婦人科
  
		  
		 卵巣粘液性腫瘍においてはその壁内に稀にmural noduleと呼ばれる結節が認められ,その多くがsarcomma-like mural noduleと称し反応性変化とされていたが,近年未分化癌の報告もされるようになり,この場合予後は不良である.今回我々はmural noduleを伴った巨大卵巣粘液性腫瘍症例を経験し,病理組織学的検討を加えた.患者は25歳,1回経妊0回経産女性で,20歳の人工妊娠中絶術の際に異常所見は指摘されなかった.半年前より腹部膨満感を自覚し,2006年5月下腹部痛が出現したため前医を受診した.巨大腹腔内腫瘍を指摘され当科に紹介となった.超音波およびMRI検査にて腹腔内を占拠し,剣状突起下に達する多嚢胞性腫瘤を認め一部に充実性の結節像を認めた.血中腫瘍マーカーはCA19-9 350.6U/mlと上昇を認める以外CA125,CEAは正常範囲内であった.境界悪性以上の粘液性卵巣腫瘍と診断し開腹術を施行した.右卵巣腫瘍であり術中迅速診断も同様の診断で右付属器摘出術を施行した.病理組織学的に粘液性境界悪性および腺癌で,壁在結節には紡錘形異型細胞,多核巨細胞,異常核分裂像を認めた.免疫組織学的にcytokeratin 22が一部に(+),vimentin(+),α-smooth muscle actin(−),caldesmon(−),HHF35(−)で腺癌からの移行像も認められ未分化癌と診断した.卵巣粘液性腫瘍のmural noduleを認めた場合,極めて予後不良な腫瘍の場合があり詳細な組織学的鑑別診断が必要である.
 
  
		日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3)
		319-319, 2006 
		 
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