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第112回学術集会(平成18年10月29日(日))
【一般演題】
卵巣悪性腫瘍1 卵巣癌に真菌症を合併した1例
中村 久基, 有本 貴英, 中川 俊介, 八杉 利治, 矢野 哲, 武谷 雄二
東京大学医学部産婦人科
【序論】真菌症は白血病や臓器移植後の免疫不全状態に発症することが多く固形癌に発生することは珍しい.今回,我々は卵巣癌患者に真菌症を合併した症例を経験したので報告する.【症例】52歳,卵巣癌3c期にてNAC療法中(TP2コース,TJ1コース施行後)に37度台の微熱を認めた.好中球198/μlまで減少を認めG-CSF投与したが,その他の所見は認められなかった.血液培養で真菌は検出されなかったが血中β-Dグルカン237pg/mlと高値であったため真菌症を疑いフルコナゾール100mg/日を57日間投与したところ約2週間で解熱しβ-Dグルカンは約3ヶ月で正常化した.【結論】抗がん剤,または放射線治療にステロイド治療を併用した症例で真菌症を発症した症例は数例,報告がある.その他の真菌症のリスク因子は長期に渡る高カロリー輸液,CVカテ挿入,糖尿病などであるが本症例はいずれにもあてはまらない.本症例は化学療法による骨髄抑制が主要因で真菌症を発症した珍しい症例と考えられる.また,早期に抗真菌薬を開始したことにより真菌症の増悪を防ぐことができたと思われる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3)
320-320, 2006
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