卵巣悪性腫瘍2　卵巣原発Carcinosarcomaの一例｜一般社団法人関東連合産科婦人科学会

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第112回学術集会（平成18年10月29日（日））

【一般演題】
卵巣悪性腫瘍2
卵巣原発Carcinosarcomaの一例

新家　秀^1）, 西井　寛^1）, 鈴木　美智子^1）, 黒田　浩^1）, 石渡　巌^1）, 拝野　貴之^1）, 石塚　康夫^1）, 鈴木　永純^1）, 大川　浩司^1）, 中林　豊^1）, 安田　允^1）, 田中　忠夫^2）
東京慈恵会医科大学附属第三病院産婦人科^1）, 東京慈恵会医科大学産婦人科^2）

　卵巣原発の癌肉腫は非常に稀で，卵巣癌の1％程度とされ，治療法も確立されておらず，予後不良とされている．
　今回我々は，卵巣原発の癌肉腫を経験したので若干の文献的考察を加え報告する．症例は79歳，2回経妊2回経産，数ヶ月前より下腹部痛を認め，当院外科を受診．CT検査にて卵巣腫瘍を疑われ当科に紹介受診となった．初診時内診所見では，骨盤内に一塊となった新生児頭大の腫瘍を認めた．CT検査，超音波検査では直径10cmの一部充実成分を含む多房性腫瘍を認めた．術前腫瘍マーカーはCA-125：1694U/ml AFP：21ng/ml CA72-4：12.0U/mlと異常値を認め，LDHは正常範囲内であった．卵巣悪性腫瘍を強く疑い開腹手術を施行した．腹腔内は腸管に強い癒着を認め，腫瘍と一塊になっていた．腫瘍は左卵巣より発生し，術中病理診断にて癌肉腫と診断した．子宮全摘術および両側付属器摘出術を施行した．術後病理診断にて横紋筋肉腫と腺癌を認め，癌肉腫（StageIIIc pT3cNxMx）と診断した．術後TJ療法を5コース終了後，神経障害（知覚・運動）grade3を認め，DJ療法1コースに変更し合計6コースを施行した．2コース，6コース後のCT検査では再発を認めず，腫瘍マーカーも陰性化し，術後5ヶ月現在再発兆候を認めていない．
　癌肉腫に対する有効な化学療法は確立されていないが，近年タキサン系化合物を併用した化学療法の有効性を示唆する症例報告が散見される．本症例でも現時点では再発を認めておらず，今後，卵巣癌肉腫に対する化学療法の症例を積み重ね検討する事により予後の向上が期待できると考えられた．

日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3) 321-321, 2006

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