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第112回学術集会(平成18年10月29日(日))
【一般演題】
卵巣悪性腫瘍3 無月経を呈し,破裂による腹腔内出血をきたした卵巣顆粒膜細胞腫の一例
坂本 秀一, 矢追 正幸, 友部 勝実, 安藤 昌守, 濱田 佳伸, 堀中 俊孝, 榎本 英夫, 大蔵 健義
獨協医科大学越谷病院産婦人科
症例は44才の女性.2回経妊2回経産.約8年間無月経であった.腹部膨満感を主訴に近医を受診.卵巣腫瘍と腹水を指摘され,当科を紹介受診した.受診時,経膣超音波断層法にて,子宮は正常大で子宮の頭側に96×102mmの卵巣腫瘍と思われる充実性腫瘍を認め,ダグラス窩から子宮周囲に広範囲のエコーフリースペースを認めた.ダグラス窩穿刺にて,腹腔内の貯留物は血液であることが判明し,腹腔内出血と考え当日緊急手術を施行した.腫瘍は,左卵巣由来で破裂して出血しており,腹腔内には,約2000mlの血液が貯留していた.手術は,左付属器切除を施行した.摘出物の病理診断は顆粒膜細胞腫であった.術前の腫瘍マーカーは,CA 125:127.1,CA199:5.4,CA 72-4:<3.0,CEA:0.2,SLX:140とCA125とSLXが高値を示した.また,ホルモン検索では,LH:4.2,FSH:0.2,PRL:13.0,E2:10未満,P:0.8,Test:0.1とLH値は正常でFSH値が低値を示し,また,E2も低値を示していた.術後,28日目には,子宮内膜が14mmと肥厚しており,翌29日目には,月経が再開し,以後整順である.卵巣顆粒膜細胞腫は,時に破裂による腹腔内出血が見られることが報告されている.また,無月経を呈することもあり,その原因としてインヒビンの関与が報告されている.本症例でも,術前のホルモン検索より,インヒビンの関与が示唆され,文献的考察を加えて報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3)
323-323, 2006
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