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		第112回学術集会(平成18年10月29日(日))
  
		【一般演題】 
		卵巣悪性腫瘍3 保存的に治療し長期予後を得られた卵巣混合型胚細胞腫の1例
  
		平岩 芙美子, 長壁 由美, 野平 良知, 岡部 一裕 
		八王子医療センター産婦人科
  
		  
		 (はじめに)2種類以上の悪性胚細胞腫が混在する卵巣混合型腫瘍は稀であり,予後不良とされている.今回我々は混合型でも稀な絨毛癌を主体とする卵巣混合型胚細胞性腫瘍の1例を経験し,妊孕性を保ちながら長期予後が可能であったので報告する.(症例)16歳の女性,0経妊0経産,右下腹部痛を主訴に近医内科受診.超音波断層法,CTにて骨盤内に12cm大の充実性腫瘍を認めたため,卵巣腫瘍疑いにて当院当科紹介受診となる.MRIにて不正形の充実性腫瘍が認められた.また,他の臓器には異常を認めず,リンパ節の腫大も認められなかった.Hb8.2g/dlと高度貧血を認めるとともに,AFP 161.3ng/ml,血中HCG20万mIU/ml,CA125 326.16U/mlと腫瘍マーカーの高値を認めた.画像診断の所見も併せ悪性の可能性も考慮し,開腹手術を施行した.腫瘍は右卵巣を原発としており,柔らかい充実性腫瘍であった.また,大網と一部癒着が認められた.術中迅速診断は絨毛癌であり,右付属器摘出術と大網切除,右卵巣動静脈摘出,虫垂摘出,骨盤リンパ節郭清施行するとともに腹膜に認められた組織を生検した.病理最終診断は絨毛癌に卵黄嚢腫瘍が混在する混合型絨毛癌であった.腫瘍は大網の付着した部分で卵巣被膜を越え,腹膜に露出していたが,大網や虫垂など卵巣以外の摘出物には転移は認められず,リンパ節も陰性であった.また,術中施行した子宮内膜組織生検では絨毛癌は認められなかった.MEA(MTX・Etoposide・Act-D)3コース施行後,Etoposide単剤投与を3コース施行し,腫瘍マーカーの陰性化を認めた.現在外来にて経過観察中であるが,5年経過した今も再発兆候は認められていない.
 
  
		日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3)
		323-323, 2006 
		 
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