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第112回学術集会(平成18年10月29日(日))

【一般演題】
悪性腫瘍その他1
婦人科領域に発生した悪性線維性組織球腫の1例


最上 多恵, 八木 瑞穂, 鈴木 靖子, 住友 和子, 石山 朋美, 沼崎 令子, 飛鳥井 邦雄
横浜南共済病院産婦人科


 悪性線維性組織球腫(MFH)は,高齢者の四肢,後腹膜に好発する比較的稀な軟部悪性腫瘍である.今回我々は非常に稀な婦人科領域発生の1例を経験したので報告する.症例は61歳女性,未経産婦.下腹部の異和感,食欲不振と左下腹部から背部にかけての疼痛を主訴に来院した.内診にて子宮の左側からDouglas窩に充実性腫瘤を触れた.腫瘍マーカーはCA125値が113.6と軽度上昇する以外は正常範囲内であった.超音波検査,CT,MRIで骨盤内に辺縁不整の9×7×5cmの腫瘍を認め,子宮左側,膀胱,S状結腸との境界は不明瞭だった.注腸検査では粘膜性病変を認めず,他臓器転移性病変も認めなかった.卵巣悪性腫瘍の疑いで開腹手術を行ったが,骨盤内の癒着が著しく腫瘍表面に達することはできず,結腸の漿膜面に2cm大の平滑な結節性病変を認めたためこれを摘出した.この病理検査で悪性線維性組織球腫であった.骨盤内由来のMFHと診断しifomideとepirubicinの併用化学療法を6コース施行した.化療後再開腹術を施行したところ,癒着は著減,卵巣腫瘍は縮小しており単純子宮全摘術+両側付属器摘出術+大網切除術を施行できた.摘出標本には腫瘍細胞を認めなかった.悪性線維性組織球腫は軟部悪性腫瘍では約10―20%を占めるが,調べ得た限り婦人科領域発生の本邦報告は卵巣原発5例,子宮原発3例を認めるのみである.今回の症例につき文献的考察を加え報告する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3) 326-326, 2006


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