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<< 学会誌へ戻る 卵巣腫瘍に占める悪性リンパ腫の頻度は低く，鑑別診断として考えることは少ないが，その治療方針は卵巣癌と異なり，早期診断が望まれる．症例1は下腹痛及び下腹部腫瘤感を主訴に近医受診．左卵巣腫瘍を疑われ，当科紹介受診となった．超音波検査で下腹部に充実性腫瘤を認め，卵巣腫瘍または漿膜下子宮筋腫茎捻転を疑い，緊急開腹術を行った．腫瘍は左卵巣由来で約8cmに腫大し，被膜は一部破綻，出血を認め，左付属器切除術を施行した．術後も腹痛が続いたため腹部CT検査を施行し，傍大動脈リンパ節に多数の結節を認め，初診時よりLDHは2214IU/lと著明に高値であり，その後も上昇していることから悪性リンパ腫が疑われた．病理診断はBurkitt lymphomaであり，血液腫瘍内科にて化学療法が施行された．HIV1PCRは陽性であった．症例2は心窩部痛を主訴に近医で精査入院となった．内視鏡検査で食道，胃，十二指腸，大腸に異常を認めず，腹部CT検査で卵巣腫瘍が疑われ，当科紹介受診となった．超音波検査にて右約7cm，左約4cmの両側充実性卵巣腫瘍を認めた．腹痛，腹部膨満感強く早期の手術療法を考慮したが，当院初診時のLDHは2463IU/lと著明に高値であり腹部CT検査にて空腸に不整な全周性の壁肥厚を認め，悪性リンパ腫，GISTなど小腸原発悪性腫瘍の可能性も考えた．小腸内視鏡による生検にて，diffuse large B-cell lymphomaと診断され，血液腫瘍内科にて化学療法が施行された．卵巣腫瘍を認め，LDHが著明に高値である場合悪性リンパ腫も念頭に置き腹部CT等による他の病変の検索も必要であると思われた． 日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3) 327-327, 2006 |
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