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第112回学術集会(平成18年10月29日(日))
【一般演題】
感染症1 septic shockから多臓器不全に至った卵管瘤膿腫の1例
小野 大輔, 輿石 太郎, 窪 真由美, 卜部 麻子, 秦 奈峰子, 幡 亮人, 幡 優子, 長田 久夫, 古堅 善亮, 三橋 直樹
順天堂大学医学部附属静岡病院産婦人科
症例は58歳,約30年前に慢性関節リウマチの診断.近年はプレドニン10mg/日を内服し,全介助が必要なため施設にて暮らしていた.また数ヶ月前より全身皮膚に潰瘍が出現していた.2006/3/26,39度の発熱,意識消失のため前医(総合病院)へ入院.4/1より下腹痛が出現し4/2に白血球700/μl,plt 3.6万/μl,CRP21mg/dl.汎発性腹膜炎のため当院外科へ搬送され開腹術となり,卵管瘤膿腫の診断で婦人科で付属器切除及び腹腔ドレナージ術を施行した.術後,脈拍は120回以上/分,血圧はカテコラミンを最大量使用して90/40mmHg台と敗血症性ショック,DIC,重症感染の状態であった.抗生剤,γグロブリン,ステロイド,ヘパリン,アンチトロンビンの使用と抗凝固療法を施行し,血圧,脈拍数,中心静脈圧,尿量を観察しながら輸血およびアルブミン製剤を使用しバイタル,尿量を保ち,血小板の減少は続くものの感染の改善が見られていた.しかし術後2日目の皮下出血を契機に感染が再燃.術後4日目に好中球が300/μlまで減少したためG-CSFも使用した.胸水やSIRSのため人工呼吸器により管理していた.動脈血,腹腔内,子宮内の培養よりbacteroides species,proteus mirabilisが検出され抗生剤を変更後,感染は改善傾向となり,術後9日目に抜管し会話可能な程に回復した.しかし術後10日目に再度呼吸状態が悪化し再び敗血症,DICに陥ったため再挿管し,ショックに対しステロイド大量短期投与を施行,その後は培養結果を見て抗生剤変更を繰り返した.しかし多臓器不全に進行して術後37日目に死亡に至った.また皮膚潰瘍は水疱瘡,帯状疱疹の診断であった.MAP36単位FFP42単位PC155単位を使用した.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3)
332-332, 2006
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