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第112回学術集会(平成18年10月29日(日))

【一般演題】
感染症1
経腟超音波ガイド下膿瘍吸引術を施行した卵巣膿瘍13例の検討


小泉 邦博, 菊地 盤, 熊切 順, 島貫 洋人, 北出 真理, 武内 裕之
順天堂大学医学部産婦人科


 【目的】卵管卵巣膿瘍は子宮内膜症やpoly surgeryなどが背景にあり,抗生剤などによる薬物療法に抵抗し,通常外科的処置が必要になる場合が多い.経腟超音波ガイド下に膿瘍内容液をaspirationした卵管卵巣膿瘍の13例についてその経過と予後について検討した.【方法】2002年1月から2006年5月までに,卵管卵巣膿瘍と診断した13例を対象とした.診断確定後,十分な腟洗浄後に経腟超音波ガイド下に17Gの採卵針で内容液を吸引し,その後入院管理として抗生剤の投与を行った.【結果】対象となった13例の平均年齢:40.8歳,手術既往例は5例,子宮内膜症の合併は8例であった.入院時の検査成績は平均でWBC:13400/μL,CRP:12.3mg/dLであった.平均膿瘍吸引量は101.5mLであった.吸引後の抗生剤投与のみで寛解したのが11症例(84.6%),軽快せず腹腔鏡下手術が施行されたのが2症例であった.膿瘍内容液からの検出菌は,E.colli4例,Bacteroides1例,Group G streptococcus1例,Enterococcus1例で,他の6例では検出されなかった.穿刺後,正常値(WBC<8000,CRP<5)にもどるまでの日数はそれぞれ平均でWBC:3.1日,CRP:4.8日であった.手術が施行された2症例とも経腟超音波穿刺を2回施行し腹腔鏡手術が行われた.【結論】卵管卵巣膿瘍は,手術既往例や子宮内膜症合併例に発生することが多い.卵巣膿瘍に対する経腟超音波穿刺は低侵襲であり,13例中11例で手術を回避することができ,初期治療として考慮しても良いと思われた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3) 332-332, 2006


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