|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第112回学術集会(平成18年10月29日(日))
【一般演題】
感染症2 パラチフス合併妊娠の一例
川島 佳, 舟山 仁, 宮澤 豊
東京都立豊島病院産婦人科
パラチフスは発熱で発症し,比較的徐脈,バラ疹,脾腫を三主徴とする法定伝染病である.治療にはニューキノロン系抗菌剤が第一選択とされているが,妊婦に対しては安全性が確立されていない.今回,妊娠中期にパラチフスを発症するもTFLXとCTXの投与により治癒し,正常分娩に至った症例を報告する. 症例は19歳,0経産,未婚.旅行でインドに滞在中妊娠.帰国途中より発熱を認め,帰国1日後に前医受診.39―40度の発熱と下痢が続くため入院し,血液・尿・便培養を施行するも原因を特定できなかった.CMZ,PIPC,IPM/CSを投与するも無効.発症より5週間後,血液培養よりSalmonella Paratyphi Aが検出され当院感染症科へ転院となった. 入院時は高熱と頻脈,バラ疹と肝脾腫を認めた.血液検査では白血球の軽度減少,貧血,LDH,CRPとトランスアミラーゼの上昇を認めた.便検査では回虫卵を認めた.切迫早産の徴候などは無く,超音波上妊娠20週と思われた.入院当日よりCTX2g/日とTFLX600mg/日の投与を開始した.入院6日後より解熱.CTXは10日間,TFLXは14日間投与し,終了.入院21日後に退院となった. 妊娠経過は異常なく,40週1日に自然陣痛発来し入院,同日2970gの男児を正常分娩した.Apgar Score9/9であった.胎盤の病理組織検査では,stage2の絨毛膜羊膜炎と,stage1の臍帯炎を認めた.胎盤の培養ではSalmonella paratyphi Aは陰性であった.母児ともに異常なく経過し,5日後に退院した.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3)
335-335, 2006
|