|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第112回学術集会(平成18年10月29日(日))
【一般演題】
合併症その他 腟内異物による大量出血によりショック状態を呈した1例
坂本 真裕子, 高橋 幸子, 鈴木 元晴, 梶原 健, 岡垣 竜吾, 板倉 敦夫, 石原 理
埼玉医科大学産婦人科
腟内異物は小児期や思春期にまれに認められるものであるが,長期に放置した場合,抜去困難,腟炎,膣粘膜潰瘍,さらには直腸腟瘻などの合併症を来たすことがある.今回我々は夫により腟内にマンガン電池を挿入され腟粘膜に広範囲な壊死を来たし多量出血およびショック状態を呈した一例を経験したので報告する.【症例】48歳2回経産 既往歴:アルコール依存症 これまでも夫の暴力により受傷し病院に運ばれることがしばしばあった.1週間前頃に夫により腟に空き缶と電池を挿入されたが,その後抜去せずにいた.3日後に自分で空き缶だけを抜去した.5日経過した頃より腟から茶褐色の帯下を少量から認め始め,だんだんと潜血色になり量も多くなり,1週間後の朝より性器出血がさらに増量したため,救急車要請し同日当院救急部に搬送された.来院時,血圧110/60脈拍130/分,腟内より持続性の出血を認め,腟内には単1マンガン電池を認めたため抜去した.処置中に収縮期血圧50台にまで低下し,その後の診察・処置が困難であったため,手術室に移動し全身麻酔下での処置を試みた.クスコ診にて腟内を観察すると,腟右側壁に4〜5cmの乾電池の影響と思われる壊死組織あり.その部分より出血があったが周囲が壊死していることから止血結紮による止血は困難であった.また腟円蓋部左下方にもびらんを認めたが同部位からの出血は無かった.圧迫により止血可能であると思われたためガーゼ挿入し手術は終了した.今学会ではその後の経過,文献的考察を踏まえて報告を行う予定である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3)
335-335, 2006
|