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第112回学術集会(平成18年10月29日(日))
【一般演題】
合併症その他 子宮動脈塞栓術が奏功した子宮仮性動脈瘤破裂の一例
高橋 あすか, 櫻井 友義, 庄司 真弓, 内田 浩, 石本 人士, 田中 守, 青木 大輔, 吉村 泰典
慶應義塾大学医学部産婦人科
今回我々は子宮内容除去術後に発生した仮性子宮動脈瘤破裂に対し子宮動脈塞栓術を施行し子宮を温存し得た一例を経験したので報告する.症例は35歳2経妊1経産.無月経5週3日,妊娠反応陽性を主訴に近医を受診するも子宮内に胎嚢を認めず,貯留液に対しダグラス窩穿刺を施行したところ血性であったため,子宮外妊娠を疑われ同時に血小板低下を認めた為,当院に紹介受診となった.入院時,経腟超音波検査にて右卵管に2cm大の腫瘤を認め,右卵管妊娠と診断.妊娠5週5日,腹腔鏡下右卵管切除術,子宮内容除去術を施行した.術後の経過は良好であったが,回復しない原因不明の血小板減少精査目的に内科へ転科となった.しかしながら術後14日目,突然大量の性器出血(1000ml以上)をきたした.超音波検査上,子宮内腔の血腫を思わせるエコー像に近接して子宮左壁に豊富な血流を伴う腫瘤像が検出された.骨盤動脈血管造影を施行,左子宮動脈の仮性動脈瘤の診断を得て直ちに止血目的でスポンゼルを用いた子宮動脈塞栓術を施行した.術後,再出血なく経過し,塞栓術施行後14日目に経過良好にて退院となった.その後,外来経過観察中に行った子宮鏡検査上も子宮内腔に異常所見は認めなかった.近年,子宮動脈塞栓術は,良好な止血効果を有すると共に子宮温存が可能な低侵襲な治療法であることから,様々な産科出血症例に応用されつつある.自験例の報告と併せ,本法の有用性,問題点などに関して若干の文献的考察を加えて報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3)
337-337, 2006
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