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第112回学術集会(平成18年10月29日(日))
【一般演題】
胎児新生児異常1 新生児に特発性限局性小腸穿孔を来した妊娠24週帝王切開分娩の1例
曽根 君恵, 中島 義之, 菅野 光, 宮川 康司, 正岡 直樹, 山本 樹生
日本大学医学部産婦人科
特発性限局性小腸穿孔(SLIP;spontaneous localized intestinal perforation)は,超低出生体重児における予後不良な疾患であり,壊死性腸炎とは異なる概念として新生児科領域を中心に報告が増加しているが,その原因や危険因子は未だ明確でない.今回我々は,妊娠24週帝王切開分娩後の新生児にSLIPを発症した症例を経験したので報告する. 症例は,39歳3回経妊1回経産(帝王切開分娩).自然妊娠成立後,近医にて妊婦健診施行していたが,妊娠22週6日性器出血があり前医受診し,子宮口開大および胎胞膨隆を認め,当院へ緊急母体搬送入院となった.入院時,母体発熱や子宮収縮は認めず,WBC 13,100/μl,CRP 0.79mg/dl,腟分泌物培養検査では病原菌は認めなかった.入院後,塩酸リトドリン持続点滴,抗生物質点滴を行い,連日腟洗浄およびウリナスタチン腟内投与した.待機的管理により,子宮収縮および炎症反応の増悪はみられなかったが,妊娠24週2日自然陣痛発来し,骨盤位(足位)のため,緊急帝王切開術施行した.児は726g男児,アプガールスコア3点(5分5点)で,出生後NICU入院となった.臍帯卵膜付着を認め,術後胎盤病理組織検査では絨毛羊膜炎の所見は認めなかった.出生後より人工呼吸器管理を要し,日齢9より母乳注入開始し経過順調であったが,日齢11に腹部単純X線写真にて腹腔内遊離ガス像を認め緊急手術施行し,回腸に穿孔を認め,腸瘻造設術を施行した.その後,腸瘻脱出を認め再手術し,現在もNICU入院中である.母は産褥経過順調で現在外来経過観察中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3)
337-337, 2006
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