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第112回学術集会(平成18年10月29日(日))
【一般演題】
胎児新生児異常1 先天性四肢短縮症における胎内発育特性
三宅 秀彦1), 奥田 直貴1), 林 昌子1), 横田 明重1), 竹下 俊行2), 中井 章人1)
日本医科大学多摩永山病院産婦人科1), 日本医科大学附属病院産婦人科2)
【目的】骨系統疾患は,個々の疾患は稀であるが,全ての疾患を総計すると約1/4000の頻度であり,日常診療で出会う可能性の高い疾患群である.今回,出生前に四肢短縮症と診断し,生後それぞれ異なる診断を受けた3症例より,その胎児計測の特徴について報告する.なお,症例の提示にあたっては個人情報の管理に十分配慮して行う.【症例】症例1(thanatophoric dysplasia:TD)32歳1回経産婦.妊娠20週頃より胎児四肢短縮症を疑われ紹介となった.妊娠22週のBPD 56mm,FL 15mmと長管骨の短縮を認め,その後BPDは標準以上に発育したが,FLは妊娠34週時においても20mmであった.児は妊娠36週に出生,体重2464g,身長36cmであった.症例2(achondroplasia)28歳初産婦.転医のため,妊娠23週に当科初診,前医では特に異常を指摘されず.初診時のBPD 60mm,FL 37mmと正常範囲内であったが,妊娠26週頃よりFLの発育制限が認められるようになった.妊娠39週のBPDは96mm,FL 48mmであった.児は妊娠39週に出生,出生体重2651g,身長46cmであった.症例3(脊椎骨端異形成症)25歳初産婦.前医で妊娠28週頃よりFLが標準値の下限以下となり,妊娠32週時四肢短縮が明らかとなり,妊娠33週初診.初診時のFLは47mmであったが,妊娠41週にはBPD 98mm,FL 54mmとなった.児は妊娠41週に出生,出生体重3852g,身長45.4cmであった.【結論】今回の検討で,TDは2nd trimester中期には四肢短縮を示していたが,achondroplasiaと脊椎骨端異形成症は2nd trimester後半期まで明らかな四肢短縮の所見を認めなかった.四肢短縮症の出生前診断において,それぞれの疾患ごとの発育特性が診断の補助となる可能性が考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3)
339-339, 2006
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