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第112回学術集会(平成18年10月29日(日))
【一般演題】
胎児新生児異常2 出生前診断された双胎一児Beckwith-Wiedemann症候群の一例
豊田 真紀, 八木 洋也, 兒玉 理, 人見 義郎, 櫻井 学, 中村 佳子, 小畠 真奈, 濱田 洋実, 吉川 裕之
筑波大学産婦人科
Beckwith-Wiedemann症候群(Beckwith-Wiedemann syndrome:BWS)は臍帯ヘルニア,巨躯,巨舌を三主徴とする先天性奇形症候群である.11番染色体p15領域のinsulin-like growth factor 2をコードする遺伝子のgenomic imprintingが原因の一つとされ,一卵性双胎の一児のみの罹患が知られている.新生児期に低血糖を認めることや,胎児性腫瘍の頻度が高いことから出生前診断が有用とされるが,双胎における出生前診断の報告はない.今回,我々は双胎の一児をBWSと出生前診断した症例を経験したので報告する. 母親は40歳の2回経産婦で,妊娠10週0日に一絨毛膜性双胎と診断され当科を紹介受診した.高齢妊娠のため羊水染色体検査についてカウンセリングを行ったが,検査は希望されなかった.妊娠32週5日の超音波検査所見にて,第二児の臍帯ヘルニアと軽度の羊水過多が認められた.また推定体重は2400gと過成長の傾向があり,舌の突出所見から巨舌も疑われBWSと診断した.第一児は羊水量の異常はなく,外表奇形も認められなかった.既往帝切と双胎一児臍帯ヘルニアのため,妊娠37週1日帝王切開分娩とした.第二児は3246gの女児で出生後所見からBWSであることが確認された.また第一児は2875gの女児で特に異常は認められなかった. 出生前超音波検査において臍帯ヘルニアを認めた場合,染色体異常の可能性を念頭におく必要があるが,一絨毛膜性双胎ではBWSも鑑別診断の一つとするべきである.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3)
341-341, 2006
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