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第114回学術集会(平成19年10月14日(日))

【シンポジウムI】
1.総論的に


海野 信也
北里大学産婦人科


 政府の周産期医療対策事業が平成8年に開始されてから10年以上が経過した.各地で,それぞれの地域の実情に応じた周産期医療システムが構築され,運営されている.周産期医療対策事業では,都道府県ごとに周産期医療システムを構築し,行政が主催する周産期医療協議会が地域周産期医療提供体制の整備を行うこととされており,周産期医療整備のための様々な取り組みがなされている.その中で,総合―地域という周産期母子医療センターのネットワークの形成,母体搬送,新生児搬送システムの構築等の,非常に重要な事業が展開されてきており,それまで明確でなかった周産期医療における各医療機関の位置づけや役割の明確化をもたらし,周産期医療の地域化に大きく貢献していると考えられる.(そのような体制の整備は,医療スタッフを含めた医療資源がきわめて乏しい中で,地域周産期医療の発展のために現場の医師・スタッフが献身的に働き続けていることの成果でもある.その一方,現場の懸命の努力が適正に評価されていない実態が,現在の周産期医療危機の根本的原因の一つとなっていることを忘れてはならない.)
 本シンポジウムでは,地域周産期医療体制の中で,特に母体搬送を巡る諸問題に焦点を絞り,新生児科の先生にも加わって頂いて議論を深めることとしたい.
 母体搬送に関する問題は大きく分けて二点に集約される.
一つは周産期救急搬送・紹介に伴う適切な施設間連携や情報交換の方法等個別症例に関わる問題,すなわち臨床実地上の問題であり,もう一つは乏しい医療資源,特にNICUの収容能力の絶対的不足と地域偏在という現実の中で,どのように適切な周産期救急搬送体制を構築維持するかというシステム上の問題である.
 前者においては,地域の実態に即した地域医療連携体制をどのように築き,維持していくか,その中でどのように良好な意思疎通を共通の基盤に立った医療提供を実現するかが問題となり,後者においては,都道府県単位という周産期医療対策事業の限界と,多数発生する地域内受け入れ不能症例への迅速かつ系統的な対応を広域で形成していく必要性とその方法が問題となると考えられる.
 これらの問題に対しては,周産期医療関係者の中でも,その立場によって見方が異なっている可能性があり,それらを総合し,地域の実情に即した解決策を見いだしていく必要がある.搬送元,搬送先双方の立場からの,積極的な議論をお願いしたい.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3) 250-250, 2007


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