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第114回学術集会(平成19年10月14日(日))

【シンポジウムII】
4.放射線腫瘍医の立場から


桜井 英幸
群馬大学大学院医学系研究科腫瘍放射線学


 放射線治療は手術と同様に,癌の局所療法の一つである.局所再発例の治療を考えた場合,一般に手術で再発したものを再手術で治すことは困難であり,放射線治療で再発したものを再照射で治すことは困難である.局所再発は,初期治療としてベストを尽くした結果としての再発であり,同じアプローチ法では限界が多い.我々放射線腫瘍医にとっては,照射後の局所再発を治療するよりも,術後再発を治療する方が容易である.これは,癌に根治線量を与えても,正常組織への影響が少なくてすむからである.一方で,照射後の局所再発に対しては,可能ならば手術をお願いしたい.しかし,子宮傍組織や骨盤壁,軟部組織など深部へ広汎に浸潤する腫瘍に対しては,再手術は困難であり局所治療に難渋することが多い.また,婦人科腫瘍の特性として,術後照射などすでに放射線治療が一次治療として行われている症例が多いため,かなり腫瘍に線量を集中できなければ,有害事象の予測から治療自体が成り立たない場合も考えられる.すなわち局所再発の治療では,新鮮例を治療する場合よりもさらに“正確”な癌の局在診断と,“線量の集中性”が要求されることになる.
 本講演では,群馬大学で行った局所再発婦人科腫瘍に対する小線源治療について報告する.癌の再発部位を,@腟断端部,Aその他の腟壁,B外陰部,C子宮傍組織,骨盤壁,D骨盤内リンパ節に分類すると,Dを除いて,小線源治療の適応がある.腟への表在性再発や小結節に対しては,再切除の適応もあるが腔内照射でも容易に根治が望める.膣断端部の小腫瘍に対しては,腔内照射で正確に照射することが困難な場合があり,Auグレインの永久刺入法(低線量率組織内照射)が有効で,我々の経験では10例中9例に局所制御が得られている.多くの局所再発は,浸潤性に発育し,時には他臓器に浸潤を認める場合もある.このような例には,高線量率組織内照射が有用である.高線量率組織内照射では,癌の再発巣に正確に線源ガイド針を置くことが最も重要であり,我々はCT透視によるガイドを用いて,正確に針を病巣に留置している.ガイド針を平均12.3本(3-29)刺入し,1日2回の分割で,総線量の中央値39(20-50)Gyを照射した結果,23例(うち10例は放射線治療の既往あり)中70%に局所制御が得られている.制御困難例は,放射線治療の既往がある症例,腫瘍が完全に固定していると判断した症例,小腸への過線量を避ける計画を行った症例であった.有害事象は照射歴のある外陰部への再照射例で,皮膚軟部組織の脱落がみられたが,保存的治療により軽快した.以上より,婦人科腫瘍術後再発に対する高線量率組織内照射は,十分にサルベージの役割がある治療法と考えられた.
 一方,あたらしい放射線治療技術も今後婦人科腫瘍局所再発の治療に有用な可能性がある.画像誘導放射線治療,強度変調照射法,粒子線治療などさまざまな分野が発展しているが,これらの治療法に共通していえることは,“正確”に“線量を集中”できる点にある.本講演では新しい放射線治療技術を紹介し,今後の婦人科腫瘍の治療戦略として提示したい.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3) 257-257, 2007


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