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第114回学術集会(平成19年10月14日(日))

【シンポジウムIII】
2.子宮腺筋症に対するUAE


安達 英夫
山近記念総合病院レディースクリニック婦人科


 子宮筋腫と子宮腺筋症(以下ADM)は月経痛,過多月経・貧血,子宮腫大・腹部膨満感・頻尿などの他自覚症状は似ているが,病態は異なる.子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓術(以下UAE)は高い有効率から治療法として認められている.子宮筋腫に対しては,筋腫核内の相互に連絡する分枝が少ない子宮動脈を塞栓することで,血行を途絶させ壊死自己融解させる.ADMでは,豊富な血管網を有する子宮筋層内を瀰漫性に広がる病変部位の血行を途絶させるため,術後一時的に症状は緩解するものの血管網の側副血行機能が回復維持され再燃するとして,治療の適応はないとする考え方があるのも肯首されよう.また,動脈を塞栓するのみで,壊死に陥った組織をその後積極的に取り除くことなく,人体の自浄作用に任せるという考え方は,既存の産婦人科における腫瘍性疾患の対応策からすると,大きく異なり奇異なものに映る.このようなことからADMに対するUAEを実施する施設は少ない.しかしながら,ADMに対して薬物療法他が行われているが,子宮全摘以外には,確実有効な治療法は存在しないというのが実情であろう.われわれは子宮温存を強く希望する36歳既婚G0P0の重症ADM患者で,GnRHa療法を行っては再燃増悪を繰り返す症例に対しUAEを実施し,劇的に疼痛が改善消失したのを経験した.以降当院で導入実施しているADMに対するUAEの実態を報告する.
 対象は,1998年10月より2007年4月までの,原則として妊孕能温存を希望しない,閉経前重症ADM患者146例,平均年齢42.9歳(30歳-53歳),ADM単独80例,子宮筋腫合併例66例である.
 方法は,全例に対して問診,内診,細胞診(P&EM),TVS,CBC,FSH,E2,CA125,MRI(UAE前および後1Mには造影MRI)を行い,経過観察は術前,術後1M,3M,6M,12M以降1年毎に術後5年までとした.手技は,硬麻下,右鼠径部穿刺の後,4Fr. Cobra型カテーテルを左子宮動脈水平枝に置き,塞栓物質gelatin sponge細片(1mm角)を用い,子宮動脈上行枝の血流が確実に途絶するまで注入,最後に0.035inch platinum coilでcap-offした.右子宮動脈はWaltman法にて左側と同様に塞栓した.
 成績は,術後1M後の造影MRIでADM病巣が造影されず完全に梗塞像を呈した122例(83.6%)では,月経痛が軽減消失し子宮も縮小した.子宮容積は術前を100とすると1M(63),3M(46),6M(40),1Y(32),2Y(31),3Y(29),4Y(28),5Y(27)と減少した.病巣が造影される“viable”部分を有する症例24例(16.4%)では,症状の遺残再燃と共にCA125値の変動上昇が認められた.再燃までの期間は平均18.1M(6-60M)であった.症状増悪他の原因による子宮全摘6例(4.1%),その内,子宮内感染2例(1.4%).自然閉経は15例(10%),平均49.8歳,閉経まで平均2.3年,45歳未満の卵巣機能不全2例(1.4%),Asherman症候群3例(2.0%),妊娠2例(1.4%),内膜細胞診ClassIII再検ClassI,2例(1.4%).
 以上より,術後に再燃する可能性はあるが,ADMに対するUAEは有効と考えられる.子宮内膜炎,Asherman症候群の可能性があり不妊治療にふさわしいとは考えられない.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3) 259-259, 2007


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