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第114回学術集会(平成19年10月14日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩・産褥(2) 妊娠高血圧症候群患者の胎盤組織内および血液中におけるIL-6,TNF-αの動態
中島 瑠美子, 五來 逸雄, 田中 躍, 提坂 敏昭, 林 雅敏
国際医療福祉大学熱海病院産婦人科
【目的】胎盤中に認められるサイトカインは妊娠高血圧症候群の潜在的進行から発現までに,重要な役割を担うと推定される.今回Th2 サイトカインとしてIL-6,Th1 サイトカインとしてTNF-αを選択し,胎盤組織内および末梢血での動態を検討した.【方法】年齢と妊娠週数に有意差を認めないP群(本症患者)18人とN群(正常妊婦)21人を対象とした.Informed consentを得た後,陣痛発来前に末梢血を採取し,血清を凍結保存した.また分娩直後に胎盤組織を約2g切離し液体窒素で凍結した.凍結組織にPBSを加えて均質化した後,上清を凍結保存した.各濃度をELISAにて測定し,胎盤内濃度は上清中の蛋白濃度で較正した後,Mann-WhitneyのU検定にて推計した.また胎盤でのサイトカインの免疫組織染色も施行した.【成績】IL-6濃度はP群の血液が3.95pg/ml(median),胎盤が17.7pg/mg prot.であり,N群の血液が7.10pg/ml,胎盤が8.71pg/mg prot.で,血液,胎盤とも有意差を認めなかった.TNF-α濃度はP群の血液が4.68pg/ml,胎盤が1.36pg/mg prot.であり,N群の血液が3.31pg/ml,胎盤が1.13pg/mg prot.で,血液はP群が高値(P<0.05)であったが,胎盤では有意差を認めなかった.免疫組織染色でもIL-6とTNF-αが妊娠高血圧症候群で強く染色されることはなかった.【結論】妊娠高血圧症候群の血液中でTh1サイトカインのTNF-αは高値であったが,胎盤内では2種のサイトカインは有意差を認めなかった.この事実から本症の胎盤内ではIL-6,TNF-αが重要な役割を演じていない可能性が示唆された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3)
267-267, 2007
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