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第114回学術集会(平成19年10月14日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩・産褥(2) 産褥期に胸水を来たした症例
高屋 茜
日本医科大学産婦人科
分娩産褥期に動悸,息切れ,呼吸困難など循環不全を示す症状はよく見られる.特に産婦人科領域では特有な羊水塞栓症,産褥期,特に帝王切開後に発生しやすい肺塞栓症,妊娠高血圧症候群,β刺激剤使用時に起きやすい肺水腫に対する対応が重要である.今回当院で産褥期に呼吸困難を呈し,胸水貯留を来たした2例を報告する.(症例1)26歳,3回経妊3回経産婦 前医にて妊娠中の高血圧,尿蛋白陽性で管理入院をされていた.血圧上昇,尿蛋白の増加,AT-3の低下を認め,妊娠39週2日緊急帝王切開術を施行した.術後血小板の低下,肝機能酵素の上昇を認め,HELLP症候群と診断し,カプロシンの投与を施行された.術後3日目歩行時呼吸苦と意識消失を呈し,当院へ搬送入院となった.心エコーで左室壁瀰漫性機能低下,CTにて肺水腫を認め,経過より後日産褥心筋症が疑われた.(症例2)27歳,3回経妊3回経産婦 妊娠中妊娠高血圧症候群を指摘されていた.妊娠39週6日血圧150/95mmHg,尿蛋白著明のため入院管理となっていた.妊娠33週2日血圧190/100mmHg,尿蛋白3+,浮腫+を認めたことから緊急帝王切開術を施行した.術後2日後心窩部痛,呼吸苦を訴え,SpO2 92%と低下を認め,当院搬送入院となった.エコーにて明らかな心機能低下・血栓は認めなかった.CTでは胸水貯留を認め,低蛋白血症,妊娠高血圧症候群の増悪による肺水腫と考えた.今回産褥期に診断に苦慮した症例を経験したので,文献的考察を含め報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3)
268-268, 2007
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