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第114回学術集会(平成19年10月14日(日))

【一般演題】
妊娠・分娩・産褥(2)
妊娠中発症したヘパリン抵抗性の深部静脈血栓症の一例


金 順煕, 山本 篤, 大井 理恵, 石橋 智子, 宮坂 尚幸, 久保田 俊郎
東京医科歯科大学産婦人科


 深部静脈血栓症(DVT)は生活習慣の欧米化や社会の高齢化などにより近年増加しており,妊娠・分娩もまた血栓症のリスクである.産婦人科領域において,周術期の血栓症および肺塞栓症については診療も標準化されつつあるが,妊娠そのものがリスクであるにもかかわらず,妊娠中発症したDVTについては,周産期管理について個別に対応せざるを得ない状況である.6月現在我々は,妊娠前は血栓性素因のエピソードがなく妊娠中に発症し,また,抗凝固療法に抵抗性を示した症例を診療中である.症例は34歳0経妊0経産.自然妊娠し近医1にて妊婦健診を受けていたが,妊娠25週5日に左大腿の疼痛にてDVTを発症し,28週0日に近医2に転院.その後血栓局在部位の評価のために29週0日に当院当科に転院となった.転院時左下肢の腫脹がみられたが,他に特記すべき所見はなく,児も推定体重1421g(+0.6SD)と週数相当であり,羊水量・臍帯血流なども正常で,産科的な異常は認めなかった.転院後血栓症の再発は見られなかったが,近医2よりヘパリン25,000単位/日投与中にもかかわらず,APTT28.2(27.7),ACT108秒と依然コントロール不良の状態であった.明らかな血栓性素因は認められなかった.そのため,現在慎重にヘパリン量を調節中である.また,フィルター留置の是非・分娩方式の決定のため,MRV/肺シンチなどの検査を進めている.発表時には妊娠分娩経過について,若干の文献的考察を加え報告する予定である.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3) 268-268, 2007


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