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第114回学術集会(平成19年10月14日(日))

【一般演題】
妊娠・分娩・産褥(3)
手術を施行し妊娠継続し得た絞扼性イレウスの1例


塚越 規子1), 曽田 雅之1), 山田 清彦1), 大澤 稔2)
前橋赤十字病院産婦人科1), 前橋赤十字病院総合診療部2)


 絞扼性イレウスは腸管壊死やショックをきたす可能性があり緊急手術を要する.妊娠中の絞扼性イレウスは稀であるが母児ともに命にかかわる危険があるため迅速な対応が必要である.今回,妊娠28週で絞扼性イレウスが疑われ手術を施行した症例を経験したので報告する.【症例】28歳,未経妊.20歳時に虫垂炎にて開腹手術の既往があった.妊娠28週,突然の上腹部痛と吐気にて他院より救急搬送された.嘔吐が頻回であり右側腹部から上腹部にかけて圧痛が強くみられた.腹部超音波検査では子宮と胎盤に異常所見はなく産科疾患は否定的であった.腹部CTで腸管の拡張が見られ,血ガス所見及び血液検査所見より腸管壊死が示唆された.絞扼性イレウスが疑われ緊急開腹手術を施行したところ,既往瘢痕部に後腹膜と小腸が癒着しており小腸が約20cmに渡り絞扼されていた.絞扼を解除するも腸管壊死を認めたため,これを切除し回腸端々吻合を施行した.子宮と附属器に癒着を認めなかった.術後感染症,電解質異常等を認めず,食事摂取良好にて順調に経過した.術直後より切迫症状が出現したが塩酸リトドリンの持続点滴静注を行ない軽快した.胎児発育も順調であり術後13日目に退院した.【結語】妊娠中の急性腹症は胎児への影響を考えると検査を行いにくいが,緊急性の高い疾患を考慮し迅速な検査治療が重要である.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3) 271-271, 2007


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