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第114回学術集会(平成19年10月14日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩・産褥(3) 妊娠中に発症しIUFDとなった成人発症Still病合併妊娠の1例
村賀 香名子, 川端 伊久乃, 大屋 敦子, 高橋 肇, 阿部 崇, 林 昌子, 中井 晶子, 三田 俊二, 横田 明重, 中井 章人
日本医科大学多摩永山病院産婦人科
成人Still病は,発熱・皮疹・関節痛などを特徴とする自己免疫疾患である.20〜30歳台女性に好発するが,妊娠との関連についての報告は少ない.今回,妊娠16週で発症し,妊娠38週でIUFDとなった成人Still病合併妊娠を経験したので報告する.症例は36歳未経妊,妊娠16週頃から咽頭痛・38℃台の発熱があり,前医で上気道炎と診断された.抗生剤・総合感冒薬を処方されたが軽快せず,不明熱精査目的に妊娠18週4日当科紹介となった.初診時39℃に及ぶ弛張熱・関節痛を認め,血液検査では,WBC 11600・CRP 14.01と炎症反応の上昇および軽度肝機能障害を認めた.重症感染症・悪性腫瘍の可能性を考え,充分な全身検索を行ったが原因を特定できなかった.また,抗核抗体・リウマトイド因子をはじめ自己抗体はいずれも陰性であった.血中フェリチンは387.6ng/mlと軽度上昇を認めた.以上より成人Still病を疑った.Yamaguchiらの診断基準を満たしたため同疾患と診断し,妊娠20週4日からプレドニゾロン(PSL)20mg/日を内服開始した.その後速やかに解熱し,全身状態も軽快した.PSLは徐々に漸減したが,妊娠経過中Still病の再燃はみられず,胎児発育も良好であった.妊娠38週4日前期破水にて入院,しかし胎児心拍が認められずIUFDと診断,2744gの女児を死産した.死産児は侵軟1度,外表奇形はみられなかった.また胎盤・臍帯に異常所見はみられなかった.本症例のIUFDとStill病との因果関係は不明である.現在外来にて経過観察中であるが,Still病の増悪はみられていない.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3)
272-272, 2007
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