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第114回学術集会(平成19年10月14日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩・産褥(4) 茎捻転により緊急開腹術に至った有茎性漿膜下筋腫合併妊娠の一例
小野 修一, 峯 克也, 磯崎 太一, 高屋 茜, 稲川 智子, 平泉 良枝, 里見 操緒, 石川 源, 澤 倫太郎, 米山 剛一, 明楽 重夫, 竹下 俊行
日医大産婦人科
近年,妊婦の高齢化を反映し子宮筋腫合併妊娠の頻度は増加傾向にある.現在,子宮筋腫合併妊娠は保存的治療が主流となっている.しかし,経過観察中に腹痛の増悪を認め妊娠19週2日で手術に至った一例を経験したので報告する.症例は40歳,1回経妊未経産.38歳時に6cm大の子宮筋腫を発見されるも本人の強い希望にて,経過観察となっていた.妊娠8週1日に当科を受診.経膣超音波断層像にて子宮右側に一部に液状変性を伴う漿膜下子宮筋腫を認めた.外来フォローアップ中に筋腫の増大を認め,妊娠16週3日にMRIを施行した.子宮右側に10cm×13cm×15cmの嚢胞変性を伴う著明に増大した有茎性漿膜下子宮筋腫を認めた.悪性疾患を疑う所見なく症状もなかったために経過観察とした.しかし,妊娠19週1日,早朝より腹痛出現し当科を受診した.子宮筋腫と一致した部位に強い圧痛を認め,茎捻転を疑い緊急開腹術を施行した.筋腫はダグラス窩に落ち込み90度の茎捻転を呈し,一部に破裂を認めた.筋腫の茎部を切断,結紮し核出を行った.術後,8日間,塩酸リトドリンの持続静注を,その後内服へ変更し,術後9日目で退院となった.現在,外来にて経過観察中である.本症例は妊娠子宮の増大により筋腫がダグラス窩に嵌頓し茎捻転を来たした症例と考えられる.茎捻転や破裂により子宮収縮が引き起こされ流早産に至る症例も報告されている.多くの場合,妊娠中の子宮筋腫は保存療法が可能であるが,一部の症例では外科的対処が必要と考えられる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3)
272-272, 2007
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