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第114回学術集会(平成19年10月14日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩・産褥(5) Fontan姑息手術後分娩5例に関する検討
秋澤 叔香, 三谷 穣, 小林 藍子, 川道 弥生, 牧野 康男, 松田 義雄, 太田 博明
東京女子医科大学産婦人科
目的:先天性心疾患で機能心室が一つの疾患に対し,肺循環心室をバイパスする機能的修復術であるFontan姑息手術(以下Fontan術)が施行されてきた.近年,Fontan術後の分娩例が報告されるようになったが,当院でも本疾患の分娩5例を経験したので報告する.対象:1997年より2007年に当院にて管理したFontan術後分娩5例を検討した.結果:原疾患は三尖弁閉鎖3例,完全大血管転移症,単心室各1例.手術より平均12.8年(7-16年)経過しており,分娩時年齢は23-36才だった.5例とも妊娠前のNYHA分類は1度と2度だった.妊娠中に切迫早産を2例に認めたが,前期破水,妊娠高血圧症候群や子宮内胎児発育遅延などの産科合併症を認めたものはなく,心房細動や重度な心不全も認めなかった.しかし早産は4例で,妊娠32週に常位胎盤早期剥離で緊急帝王切開になった症例が1例,妊娠32週で陣痛発来し急速に早産になったものが1例,母体心機能低下のため妊娠35-36週での人工早産例が2例であった.平均分娩週数は34週(29-38週),平均出生体重は1960g(1072-2404g)であった.輸血は常位胎盤早期剥離例と貧血を認めた各1例に施行した.産褥期は一時的に心負荷が増え,5例全例に利尿剤が投与された.また1例は上室性頻拍症を認めたが,ジゴキシン投与で軽快した.分娩後長期に亘る心不全を呈した症例はなく,児の重篤な合併症も認めなかった.結論:Fontan術後分娩5例はいずれも重症な転帰をとらずに生児を得たが,心機能の悪化を含め早産例が多く,早産のリスクを考慮に入れた,厳重な母児管理が必要と考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3)
274-274, 2007
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