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第114回学術集会(平成19年10月14日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩・産褥(5) 根治術未施行のファロー四徴症合併の女性に対し持続酸素投与によって生児を得た1症例
高村 将司, 兵藤 博信, 瀬山 貴博, 山下 隆博, 亀井 良政, 藤井 知行, 上妻 志郎, 武谷 雄二
東京大学産婦人科
【背景】心疾患全般の予後の改善に伴い,妊娠可能ないし希望の心疾患女性は増えている.また,高度に進歩した新生児医療によって,早期産児のintact survivalの確率は飛躍的に改善し,妊娠後期の循環負荷を避けて出産し児をもつことも可能となっている.【症例】35歳,1回経妊0回経産.ファロー四徴症(PS+VSD+MAPCA)で,14歳時に左のunifocalizationとB-Tシャントを受けていた.日常生活では,階段を上ると呼吸困難が見られる程度であった.特に定期的な検診は受けていなかった.妊娠成立後,複数の総合病院で検査,診察を受けたが,妊娠管理を受け入れられなかった.妊娠18週,当科受診.Room airでSpO2 80-85%,酸素投与下でSpO2 86-90%,心機能は良好に保たれていた.20週より管理入院とし持続的に酸素投与を行った.入院中Sp O2は85%以上を保ち,子宮内胎児発育遅延を認めず,心機能も妊娠末期まで良好に保たれ経過した.分娩は全身麻酔下の帝王切開分娩とし,妊娠37週0日に施行した.男児2356g,Apgar 6/9であった.児はNICUで3日間経過観察し,異常を認めなかった.母体は術後1日ICUで経過観察したが,呼吸機能,心機能とも問題なく経過し,術後11日目に母児ともに退院となった.退院後,心エコー所見も特に妊娠前と著変を認めなかった.【結語】当症例は,妊娠を中絶するか継続するか,その判断が難しいところであり,施設により意見が分かれた.近年,心疾患合併妊娠に対するガイドラインが示されたが,今回,チアノーゼ性心疾患合併妊娠の適否,合併症対策等につき,文献的考察を交えて報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3)
275-275, 2007
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