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第114回学術集会(平成19年10月14日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩・産褥(7) 前置胎盤を伴う死胎児症候群の患者に対し子宮動脈塞栓術が有効であった一例
田中 優希, 高橋 千果, 東郷 敦子, 近藤 朱音, 内田 能安, 森 晃, 三上 幹男
東海大学医学部専門診療学系産婦人科
[はじめに]子宮動脈塞栓術は,産婦人科領域においては1970年代から進行末期の子宮頸癌や産後出血の止血目的で行われている.なかでも出産時の頸管,膣損傷や弛緩出血,帝王切開術後の動脈損傷や偽動脈瘤形成などによる産後出血は生命を脅かす大量出血の原因となり,これに対する動脈塞栓術は術後の妊娠希望にも応えるものである.本症例は全前置胎盤を合併しており通常の分娩では大量の出血が予想されたため,動脈塞栓術を施行した後に分娩処置を行ったところ大量の出血なく処置をすることが可能であった.[症例]34歳,2経妊0経産.子宮筋腫合併妊娠にて当科で経過観察中に児がポッター症候群疑いと診断されていたが妊娠17週0日に子宮内胎児死亡となったため治療的流産となった.17週3日に入院し頸管拡張を行ったところ少量の出血を認めるのみであったが,翌日さらに拡張を試みたところ出血の増加傾向あり子宮動脈塞栓術を施行した.止血後PGE1による誘導を開始したが分娩時の出血は486mlと大量出血には至らなかった.その後の産褥経過も良好である.本症例では多発する子宮筋腫も合併していた(最大9cm)が止血目的で行った動脈塞栓術が筋腫に対しても有効であることが予想される.子宮筋腫に対する動脈塞栓後の妊孕性についてはこれまでにも良い結果が報告されており,今後の妊娠についても慎重に考慮したい.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3)
280-280, 2007
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