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第114回学術集会(平成19年10月14日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩・産褥(7) 前置癒着胎盤を疑い周産期管理に苦慮した卵子提供妊娠の1例
板谷 雪子, 村山 敬彦, 神谷 恵理, 江良 澄子, 上山 明美, 松村 英祥, 海老根 真由美, 斉藤 正博, 板倉 敦夫, 馬場 一憲, 関 博之, 竹田 省
埼玉医科大学総合周産期母子医療センター母体胎児部門
[緒言]近年,海外において卵子提供を受けた妊娠症例が増加している.今回我々は,既往adenomyomectomy創部に胎盤癒着を疑う前置胎盤症例を経験した.症例を提示し,当センターで経験した卵子提供妊娠5症例について併せて考察する.[症例]51歳,0回経妊0回経産.41歳時,子宮内膜症性卵巣のう腫と骨盤腹膜炎にて,開腹ドレナージおよび左付属器切除術施行.術後骨盤腹膜炎再燃し,再開腹となった.50歳時,米国にて子宮体部後壁のadenomyomectomyを施行.手術は子宮内腔に達し,凍結骨盤に対して癒着剥離術が施行された.今回,米国にて卵子提供による妊娠が成立し,妊娠31週4日,全前置胎盤にて前医管理入院となった.MRI検査で前回子宮創部の癒着胎盤が疑われ,凍結骨盤の下でcesarean hysterectomyが必要となった場合,極めて困難な手術が予想されるということで,妊娠31週4日,当センターに母体搬送となった.搬送後の超音波検査では,明らかな胎盤の筋層浸潤を認めなかったが,自己血を900ml貯血し,総腸骨動脈にocclusion balloonを留置し,尿管にcatheterを留置して,妊娠35週1日,予定帝王切開とした.胎盤は抵抗無く剥離し,uterine packingにて出血コントロールは可能であった.[結語]当センターで経験した卵子提供妊娠5例において,重症妊娠高血圧症候群を合併した症例が2例,前置胎盤や辺縁静脈洞破裂を合併したものが2例と,極めてhigh riskな転帰となっている.卵子提供妊娠のriskについて,実施前の十分な説明と理解が必要と考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3)
281-281, 2007
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