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<< 学会誌へ戻る 抗M抗体は比較的検出頻度の高い自然抗体の一つであるが，その大部分はIgM型であるとされる．このため，抗M抗体のために新生児溶血性疾患の原因になることはまれであるとされている．今回，母体の保有する抗M抗体により，胎児に溶血が起こり胎児水腫を生じたと考えられる症例を経験したので報告する． 症例は26歳，0回経妊0回経産．妊娠初期のスクリーニングで抗M抗体を指摘され，近医から前医に紹介となり外来経過観察を受けていた．妊娠28週3日，間接クームス検査は力価32倍であった．妊娠31週0日，胎児水腫の所見を認めず．妊娠31週5日，右水腎症による右腰背部痛を生じ前医に入院した．この際，胎児に頭部の皮下浮腫，少量の胸水貯留を認め，前医にて胎児の娩出を考慮されたが，NICU満床のため妊娠32週1日当院へ母体搬送となった． 当院来院時，エコーにて胎児に全身浮腫，胸水貯留，MCA-PSVの上昇を認めた．間接クームス試験の力価は128倍であった．胎児心拍数モニターでは，基線細変動の著明減少，遅発性一過性徐脈の反復を認め，Non-reassuring fetal statusと判断した．このため，同日に緊急帝王切開を行なった．児は，1850gの女児でアプガースコア4/7点であった．全身蒼白で浮腫を認めた．RDSのため呼吸器管理，サーファクタント補充療法を行なっている．また，血液検査にて，Hb：5.1g/dLと著明な貧血を認め，直接クームス試験，間接クームス試験ともに陽性であった．適合血の濃厚赤血球液を輸血したところ，浮腫は次第に改善した．日齢78にNICU退院となっている． 日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3) 287-287, 2007 |
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