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第114回学術集会(平成19年10月14日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩・産褥(10) 児に溶血性変化を来たさなかった抗E抗体強陽性妊婦の2症例
伊東 敬之1), 高木 司1), 深田 幸仁1), 星 和彦2)
独立行政法人国立病院機構甲府病院産婦人科1), 山梨大学産婦人科2)
Rh E不適合において,母体抗体価が強陽性の場合には新生児溶血性疾患の発症が見られ,児に対する交換輸血の報告もみられる.今回我々は妊娠中のスクリーニング検査において抗E抗体を検出し,その後強陽性となったが,児に溶血性変化をきたさなかった症例を経験したので報告する.症例1 4経妊3経産 35歳妊娠26週5日間接クームス陽性.その後抗E抗体価64倍のため妊娠29週0日胎児採血実施.児血液型A型Rh DEe臍帯血ヘモグロビン12.2g/dl,直接クームス陽性,抗E抗体価1倍であった.妊娠33週5日抗E抗体価128倍と上昇.妊娠34週5日分娩誘発行い,正常分娩にて出産.分娩時の臍帯血抗E抗体価8倍であった.出生後児に明らかな貧血,黄疸は出現しなかった.母体および児の抗E抗体はIgG1 Typeであった.症例2 2経妊1経産 27歳妊娠25週4日前医にて抗E抗体価512倍のため紹介.妊娠29週0日胎児採血実施.児血液型A型Rh DEe臍帯血ヘモグロビン11.8g/dl,直接クームス陰性,抗E抗体陰性であった.妊娠36週3日分娩誘発行い,正常分娩にて出産.分娩時の臍帯血抗E抗体は陰性であった.出生後児には明らかな貧血,黄疸は出現しなかった.今回我々は妊娠中のスクリーニング検査において抗E抗体を検出しその後強陽性となったが,児に溶血性変化をきたさなかった2症例を経験した.それぞれ母体から検出された抗E抗体は,IgG1およびIgMであった.児の溶血の発症には抗体の種類が関与することが示唆された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3)
288-288, 2007
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