|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第114回学術集会(平成19年10月14日(日))
【一般演題】
胎児異常(1) 羊水過多を契機に経腹超音波検査で出生前診断しえたApert syndromeの1症例
朝田 嘉一1), 藤江 道子1), 永井 聖一郎1), 高木 司2), 伊東 敬之2), 深田 幸仁2), 平田 修司3), 星 和彦3)
塩山市民病院産婦人科1), 独立行政法人国立病院機構甲府病院産婦人科2), 山梨大学医学部産婦人科3)
【緒言】Apert syndromeは尖頭,合指趾症を伴う症候群で,頻度は出生15万〜50万に1例とされる稀な遺伝性奇形症候群である.本邦での出生前診断の症例報告は殆どない.私達は,羊水過多を契機に経腹超音波検査で出生前診断しえたApert syndromeの1症例を経験した.【症例】母は24歳1経産,第1子の妊娠分娩経過,出生後経過に特記すべきことなし.自然妊娠成立後,妊娠29週まで妊婦健診で異常を認めていなかった.30週0日(最終月経より)にAFI:21.1cmと羊水過多を認めた.35週1日にはAFI:23.3cmとなり,3次元経腹超音波検査で精査したところ,特異な顔貌(尖頭,低い鼻根部,上顎低形成など)と合指趾症を認め,Apert syndromeと診断した.37週0日に分娩誘発を施行し,同日正常経膣分娩に至った.児は体重:3088g,Apgar score(1分値):10点の男児で,Apert syndromeに典型的な顔貌と合指趾症を呈していた.狭口蓋を認めたが,全身状態は概ね良好で,現在小児科,脳外科,形成外科にてfollow upを受けている.【考察】海外の文献においては,Apert syndromeの出生前診断の症例報告は散見され,その多くは超音波検査に加えて,MRI,遺伝子検査により診断に至っている.私達は,本症例を3次元経腹超音波検査によりApert syndromeと出生前診断した.Apert syndromeのように特異な外表奇形を呈する疾患の出生前診断には,3次元経腹超音波検査が有効であると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3)
292-292, 2007
|