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第114回学術集会(平成19年10月14日(日))
【一般演題】
胎児異常(2) 心臓腫瘍の発見を契機に結節性硬化症と出生前診断した一例
浅井 哲, 金 善恵, 樋口 隆幸, 峰岸 一宏, 石本 人士, 田中 守, 青木 大輔, 吉村 泰典
慶應義塾大学医学部産婦人科
胎児期に発見される心臓腫瘍は稀である.今回我々は妊娠31週に超音波断層法にて心臓腫瘤,胎児MRIにて頭蓋内の上衣下腫を認め,結節性硬化症と出生前診断した症例を経験したので報告する. 症例は32歳,2経妊2経産.前2児に特記事項なし.既往歴・家族歴特記すべきことなし.妊娠28週時に他院より心臓腫瘍疑いにて当院紹介受診となった.超音波断層法では左室に最大3cm大の多発性高輝度腫瘤を認め,横紋筋肉腫が疑われた.横紋筋肉腫は結節性硬化症の一徴候であることが知られているため,妊娠31週時に胎児MRIを施行した.その結果,頭蓋内に上衣下腫を認め,結節性硬化症との出生前診断に至った.以後,超音波検査にて腫瘤増大による流出路閉塞や不整脈の出現に注意して経過観察した.腫瘤の増大傾向はなく,胎児心機能も正常範囲を推移した.妊娠38週3日,男児(3093g,Apgarスコア8/10)を経腟分娩した.児は出生直後から新生児科管理となったが,全身状態は安定しており,腫瘤も縮小傾向を認めたために日齢19に退院となった. 本症例では胎児超音波検査による心臓腫瘍の発見が契機となり結節性硬化症の出生前診断が可能となった.若干の文献的考察を加え,報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3)
295-295, 2007
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