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第114回学術集会(平成19年10月14日(日))
【一般演題】
良性卵巣腫瘍 卵巣嚢腫茎捻転の画像診断に関する検討
山本 直子, 水主川 純, 五味淵 秀人, 岡田 朋美, 大垣 洋子, 中西 美紗緒, 岡 朱美, 桝谷 法生, 定月 みゆき, 箕浦 茂樹
国立国際医療センター産婦人科
【緒言】卵巣嚢腫茎捻転は下腹部の激痛をきたし,救急外来にて早急に診断すべき疾患の一つである.【方法】当院で2004年から2006年までの間,術前もしくは術後に卵巣嚢腫茎捻転と診断した18例を対象に,CT,MRI画像による所見を検討した.またCT画像において,卵巣嚢腫茎捻転の診断の特徴とされている所見の有無を上記18例中,CT撮影後卵巣嚢腫茎捻転と術後診断された13症例で検討した.【結果】18例中16例で術前にCT撮影されており,残り2例は症状発現前にMRI撮影されていた.CTで明らかに卵巣嚢腫茎捻転を疑う所見を認めたものは16例中9例(56%)であった.非造影CTの2例では,いずれも画像上茎捻転の指摘はできなかった.CTにて診断がつかず,MRIを施行した症例は3例であった.卵巣嚢腫茎捻転を起こした症例ではCT上,腹水を13例中6例で認めたが,いずれも少量であり,生理的腹水との鑑別が困難であった.卵巣の造影効果は乏しいものが13例中11例,造影効果を認めたものが2例.子宮の偏移を明らかに確認できたものは13例中2例であった.【考察】CTにて診断がつかず,MRIを施行した3例の内訳は,卵巣嚢腫茎捻転を疑い子宮筋腫の捻転であった1例,同様にして卵巣嚢腫と卵巣出血の合併であった1例,捻転の指摘はできなかったが卵巣嚢腫茎捻転であった1例であり,MRIの卵巣嚢腫茎捻転における診断能はCTと比較し優位であるとは言えなかった.卵巣嚢腫茎捻転の画像診断において,造影CTが非常に有用であり,非造影CTでは診断に結びつかないことが多い.CT画像上腹水,卵巣の造影効果の減弱,子宮の偏移など特徴的な所見を全て示すことは少ないため,症状と合わせて総合的に診断することが重要である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3)
296-296, 2007
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