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<< 学会誌へ戻る 帝王切開後瘢痕部妊娠は帝王切開症例の増加に伴い，近年報告が増加している．子宮内と帝王切開後瘢痕部に同時妊娠した報告例はないが，今回我々はそれを経験したので報告する．症例は37歳1回経妊1回経産（帝王切開分娩）であった．今回はIVF-ETで妊娠した．妊娠7週0日より不正性器出血認め，経腟超音波検査にて帝王切開後瘢痕部妊娠と診断され，当院を受診した．経腟超音波検査で子宮内に一絨毛膜二羊膜双胎で両児とも心拍陽性の胎芽を認めるとともに，内子宮口から子宮前壁にかけて膀胱側に押し出された一絨毛膜二羊膜双胎の胎嚢を認めた．両児共に心拍陽性であった．尿中hCGは治療前308946IU/lであった．四胎妊娠および帝王切開後瘢痕部妊娠と診断し保存的治療としてメソトレキセート（MTX）の胎嚢内及び全身投与を施行する事とした．子宮頚管前壁に局麻後，エラスター針にて経腟超音波ガイド下に両胎嚢穿刺を施行した．胎嚢液吸引後，MTX40mg/5mlを両胎嚢内に局注した．同日よりMTX20mg/bodyの筋注を開始した．投与後3日目より39℃を超える発熱を認めMTX筋注を中止，5日目にGradeIVの好中球減少，敗血症性ショック及びDICを発症し，集中治療を施した．経過中の大出血はなく，尿中hCGは，MTX投与後12日目で980IU/lに低下し，超音波検査では胎嚢像の縮小を確認した．全身状態の改善後に退院し，尿中hCGはMTX投与後55日で陰性化した．今後は瘢痕部形成術を施行予定である．単胎帝王切開後瘢痕部妊娠に対してはMTX投与や腹腔鏡下手術，開腹手術など治療法は確立しつつある．今回は非常に稀な四胎妊娠であり，保存的療法としてMTX療法を選択することで子宮温存することが可能であった． 日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3) 299-299, 2007 |
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