|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第114回学術集会(平成19年10月14日(日))
【一般演題】
子宮外妊娠 最近経験した経過の異なった頸管妊娠の2症例
中村 泰昭, 落合 尚美, 松本 由佳, 武藤 聡子, 川村 久恵, 中川 圭介, 上里 忠和, 五十嵐 敏雄, 梁 善光
帝京大学ちば総合医療センター産婦人科
<緒言>頸管妊娠は子宮外妊娠の0.15-3.7%を占める比較的まれな疾患である.初産婦が1/3-半数近くを占めるとされるが,本症の約80%に単純子宮全摘術が施行されており,子宮温存は困難な事が多い.今回,頸管妊娠治療中に強出血を来したが子宮を温存し得た1例と頸管妊娠出血後ATHを余儀なくされた1例を経験したのでその臨床経過を加え報告する.<症例1>29歳1G0P.他院妊娠初診時より頸管部に胎嚢を認めたため頸管妊娠の疑いにて当科紹介となった.初診時外子宮口部に胎嚢組織の一部がみえたためその大部分を摘出したがその後頸管後唇に浸潤する妊娠遺残組織とhCGの再上昇を認めたため再入院しMTXによる治療を開始.HCGは一旦順調に低下しMTX使用後15日目に退院となったが,翌日,頸管からの強出血を認め夜間再入院.経腟的に頚管の出血部位を応急的に結紮止血した後に,TAEを行い子宮を温存し得た.<症例2>42歳3G0P,未婚.他院初診時より胎嚢は子宮頸管部に存在したが流産組織が下降したものと判断され稽留流産の診断でD&Cとなった.前処置としてのラミナリア挿入直後からの強出血が出現したためそのまま子宮内容除去術行うも出血は持続し大量出血・プレショック状態となったため当院へ救急搬送となった.輸血準備完了後に全身麻酔下で処置を開始した所,内診上子宮頸管全体が抉れた状態でありこの部位から出血であり頸管妊娠と判明,最終的にはATHを余儀なくされた.<結語>頸管妊娠は一旦出血が始まると止血困難な事が多い.治療の要点は頚管妊娠であるという事の正確な診断を行うことはもちろんであるが,加えてhCGの順調な低下を示す場合でも慎重に対応していくことではないかと考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3)
300-300, 2007
|