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第114回学術集会(平成19年10月14日(日))
【一般演題】
子宮外妊娠 腹腔鏡下に治療し得た卵巣妊娠の二例
山本 恵理子, 阿部 礼子, 田嶋 敦, 阿部 弥生, 氏平 崇文, 菅 直子, 矢田 昌太郎, 丸山 真由子, 楠木 総司, 今野 秀洋, 野島 美知夫, 吉田 幸洋
順天堂大学浦安病院産婦人科
子宮外妊娠の発症率は近年増加しているが,その大部分は卵管妊娠であり卵巣妊娠は子宮外妊娠全体の数%を占めるに過ぎない.今回子宮外妊娠の診断で腹腔鏡下手術を行い,卵巣妊娠であった症例を2例経験したので報告する.【症例1】35歳1経妊1経産,自然妊娠.最終月経より妊娠8週時に,近医にて経腟超音波で子宮内に胎嚢を認めず左付属器に5cm大の腫瘤を認めたため,子宮外妊娠の疑いで当院に紹介となった.血中β-HCGは100,057mIU/mLと高値であり子宮外妊娠の診断で腹腔鏡下手術を行った.左卵管は軽度膨隆しているのみで,左卵巣が血腫様に腫大し出血していた.これより左卵巣妊娠を疑って左付属器を切除した.病理所見では左卵管は正常であり,左卵巣血腫部分の凝血塊に卵巣実質と共に絨毛成分を認めた.以上より左卵巣妊娠と診断した.【症例2】23歳0経妊0経産,自然妊娠.最終月経より妊娠7週時に不正出血・腹痛を認め当院救急外来を受診した.経腟超音波でダグラス窩に少量のecho free spaceと凝血塊を思わせる5cm大の腫瘤像を認めた.血中β-HCGは1803.3mIU/mLであり子宮外妊娠の診断で腹腔鏡下手術を行った.ダグラス窩に凝血塊が貯留しており,その中に胎嚢様の腫瘤を認めた.また右卵巣一部が膨隆し破裂していたため同部を切除した.病理所見では右卵巣の辺縁に少量の栄養膜細胞の集合と微量の絨毛成分を認めた.以上より右卵巣妊娠と診断した.卵巣妊娠は稀であるが,子宮外妊娠を疑って腹腔鏡下手術を行い卵管の所見が乏しかった時は,卵巣妊娠の可能性も考え卵巣およびダグラス窩の凝血塊を注意深く精査する必要がある.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3)
302-302, 2007
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