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第114回学術集会(平成19年10月14日(日))
【一般演題】
子宮頸癌 子宮頸癌術後放射線治療の晩期障害として,膀胱破裂をきたした3症例
仲村 勝, 藤井 多久磨, 村上 功, 大野 暁子, 岩田 卓, 塚崎 克己, 青木 大輔, 吉村 泰典
慶應義塾大学医学部産婦人科
【はじめに】子宮頸癌の根治術後の放射線照射による有害事象には十分留意する必要がある.今回,術後放射線治療後にみとめた膀胱破裂を3例経験したので報告する.【症例】3症例はいずれも広汎子宮全摘出術後に放射線治療を行い,再発兆候等なく経過していた.(症例1)37歳時に子宮頸癌IIa期に対し手術および計50Gyの放射線照射を施行.術後12年目に胸水,腹水の貯留を主訴に当科受診.腹水の組成が尿に近く,また尿カテーテル挿入とともに約3000mlの液体流出し腹部症状の軽快を認めたことより膀胱破裂の診断に至り膀胱修復術を行った.(症例2)49歳時に子宮頸癌Ib期に対し手術および計50Gyの放射線照射を施行.術後10年目に腹痛と腹水貯留を主訴に当科受診.はじめ原因不明の腹水貯留であり経過観察していたが,半年後に再度腹水の貯留を認めた.激痛後に腹部膨満感が出現しているエピソード,およびインジゴテストにて腹水の青変をみとめたため膀胱破裂の診断に至った.保存的に管理中である.(症例3)56歳時に子宮頸癌IIa期に対し,手術および計45Gyの放射線照射を施行.術後4年目に腹痛を主訴に当科受診.画像上,膀胱前面に嚢胞を認めたため経皮的ドレナージを施行したところ膿汁の排液を認めた.また,膀胱造影にて膀胱と嚢胞との交通をみとめたために腹腔外膀胱破裂と診断した.保存的治療により経過観察中である.【考察】文献的には,子宮癌の放射線治療後の膀胱破裂は約2.0%の発症率とされる.比較的まれな疾患であるために,その診断は困難な場合も多いと思われる.【結語】今回のように放射線治療後の急性腹症をみとめた場合に,膀胱破裂も十分に念頭に置き診察することが重要と思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3)
304-304, 2007
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