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第114回学術集会(平成19年10月14日(日))
【一般演題】
悪性卵巣腫瘍(3) 著明な男性化徴候を認めた卵巣腫瘍の1例
井上 慶子, 矢島 正純, 澁谷 裕美, 松本 浩範, 安藤 索, 岩下 光利
杏林大学産婦人科
今回,我々は著明な男化徴候を認めたセルトリ間質細胞腫瘍の1例を経験したので報告する.症例は45才,未婚で0経妊0経産.家族歴・既往歴は特になく,2年ほど前から腹部腫瘤感を自覚していたが,検診で巨大な腹部腫瘤を指摘されたため,当院紹介受診となった.腫瘍は成人頭大で臍上に及び,エコー,MRIにて多房性,充実性と嚢胞性の混在する巨大な卵巣腫瘍と診断した.CA602:68U/ml,CA72-4:3.0U/ml以下と正常値であったが,多毛,陰核肥大,ひげなどの男化徴候を認めていたためテストステロンを測定したところ,211ng/dlと高値を示したことより男性ホルモン産生腫瘍が考えられた.開腹時,腫瘍は左卵巣より発生しており,径20cm超で表面は凹凸不整で多房性を呈しており,一部周囲と癒着を認めたが,明らかな被膜の破綻はなかった.また中等量の腹水を認め,迅速細胞診にて疑陽性であった.子宮,対側卵巣及び周囲臓器に明らかな異常所見なく,左付属器摘出術を施行した.病理組織診ではSertoli-stromal cell tumor,moderately differentiated typeであった.術後の補助化学療法の効果は現在のところ不明で,転移例,再発例に限られるべきだという報告もあり,治療法は確立されていない.現在テストステロンは正常域に低下し,外来にて経過観察中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3)
311-311, 2007
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