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第114回学術集会(平成19年10月14日(日))
【一般演題】
悪性卵巣腫瘍(3) 若年女性に発症した低分化型Sertoli-stromal cell tumorの1例
元木 葉子1), 長野 研二1), 佐藤 綾1), 武居 麻紀1), 宮城 悦子2), 木田 博勝1), 中山 昌樹1)
横浜労災病院産婦人科1), 横浜市立大学産婦人科2)
今回我々は,若年女性に低分化型Sertoli-stromal cell tumorを経験したので,文献的考察を加え報告する.症例は19歳,身長182cm,体重82kg.未経妊未経産.発熱と腹痛を主訴に他院から当院消化器内科へ紹介され,経腹超音波で骨盤内に径18cmの腫瘍を指摘されて当科へ併診された.腫瘍マーカー,およびアルドステロン・テストステロンに有意な上昇は認めず.MRIで右卵巣に充実性腫瘍を認めたため,開腹術を施行した.腫瘍は表面平滑,右卵巣より発生し,径18×17cm,左卵巣は正常大,癒着や腹水は認めなかった.術中迅速診ではMalignant lymphoma疑いとの結果だったため,妊孕性温存目的に右付属器摘出のみを行った.術後,低分化型Sertoli-stromal cell tumorの診断が確定した.腹水洗浄細胞診は陰性で,Stage 1aであった.後療法としての化学療法の追加は患者および家族が拒否したため施行しなかった.術後半年経過した現在までは再発兆候なく経過中である.Sertoli-stromal cell tumorは全卵巣腫瘍の0.5%と稀な腫瘍で,5年生存率は,全体で70〜90%である.全年齢に発症しうるが,平均年齢は25歳で,75%は40歳以下である.若年女性に発症しうるため,低分化型で悪性と診断されても,妊孕性温存目的で術式は片側付属器切除術で終わることが多い.術後後療法はCAP療法などPlatinum based regimenが選択されることが多いが,症例数の少なさから確立したregimenはない.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3)
312-312, 2007
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