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第114回学術集会(平成19年10月14日(日))

【一般演題】
悪性卵巣腫瘍(3)
巨大卵巣カルチノイドの一例


山下 恵理子, 三浦 敦, 阿部 裕子, 小野 修一, 岩崎 奈央, 高屋 茜, 山田 隆, 市川 雅男, 石川 源, 米山 剛一, 明楽 重夫, 竹下 俊行
日本医科大学付属病院産婦人科


 卵巣カルチノイドは卵巣に発生する境界悪性腫瘍で比較的まれな疾患である.甲状腺腫性カルチノイドにおいてはカルチノイド細胞の55%以上に消化管ホルモンの一種であるPeptide YY(PYY)が検出され,PYYの過剰状態による頑固な便秘が特徴的な症状といわれている.今回,卵巣に発生した巨大甲状腺腫性カルチノイドの症例を経験したので報告する.
 症例は44歳,1経妊未経産.腹部膨満感を主訴に当科受診した.成人頭大の腹腔内腫瘍と子宮の腫大を認め,卵巣腫瘍,多発子宮筋腫を疑い精査を行った.大きさと画像所見から悪性卵巣腫瘍も念頭に置き検査を行った.しかし,他に悪性を疑う所見は認めず,多発子宮筋腫,粘液性嚢胞腺腫の診断にて腹式単純子宮全摘,左側付属器摘出を施行した.術後の病理組織診断では成熟,分化した甲状腺組織に連続して索状〜小胞巣状構造を示す小型濾胞状皮様細胞が認められ,成熟嚢胞性奇形腫に合併した甲状腺性カルチノイドと診断した.
 一般に,卵巣甲状腺腫性カルチノイドは術前診断が困難であるとされており,特にPYY陰性例ではカルチノイド症候群を呈さないことも報告されている.卵巣甲状腺腫性カルチノイドについて若干の文献的考察を加え報告する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3) 312-312, 2007


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