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第114回学術集会(平成19年10月14日(日))
【一般演題】
悪性卵巣腫瘍(3) 卵巣clear cell adenocarcinofibromaの一例
横田 めぐみ1), 鈴鹿 清美1), 加藤 一喜1), 大崎 達也1), 伊丹 真紀子2), 田中 尚武1)
千葉県がんセンター婦人科1), 千葉県がんセンター臨床病理部2)
悪性明細胞腫瘍のなかでもっともみられるのは腺癌であるが,まれに線維成分の多い腺線維腫性腫瘍がみられる.境界悪性型と悪性型腫瘍が混在した卵巣clear cell adenocarcinofibromaの例を経験したので報告する.症例は63才,5経妊4経産.25才前置胎盤で帝王切開,28才良性卵巣のう腫で片側卵巣摘出,33才子宮筋腫で子宮膣上部切断術の既往がある.母親が子宮癌の家族歴あり.1ヶ月前からの不正性器出血を主訴に近医受診し,卵巣腫瘍指摘され,治療目的に当院紹介受診,下腹部に16-20週大の腫瘤触知,超音波,MRIで充実性,のう胞性の混在する境界明瞭な10x10x9cmの腫瘍で,腹水はなく,他臓器異常もなかった.腫瘍マーカーはCA125:35.7ug/ml.手術時所見は腫瘍は右卵巣原発と思われ,腹水洗浄細胞診は陰性,その摘出腫瘍の迅速組織診は悪性腫瘍で,浮腫状間質内に類円形核と淡明あるいは好酸性の胞体を有する腫瘍細胞がやや崩れた腺腔様構造を示し増殖し,sex-cord tumorまたはKrukenberg tumorの可能性が考えられたため,大網部分切除,後腹膜リンパ節試験切除を施行した.腫瘍割面は黄灰白色で比較的均一な充実性部分のなかに,一部のう胞部分がある.病理組織にて,線維腫型の明細胞性腫瘍の像で,上皮性部分は境界悪性型,悪性型腫瘍が混在しており,卵巣clear cell adenocarcinofibroma,pT1aN0M0と診断した.現在卵巣明細胞癌Ia期に準じ,補助化学療法施行中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3)
313-313, 2007
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