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第114回学術集会(平成19年10月14日(日))
【一般演題】
悪性卵巣腫瘍(4) 卵巣混合型悪性胚細胞腫瘍の1例
伊藤 郁朗, 片貝 栄樹, 池田 禎智
国立病院機構高崎病院産婦人科
卵巣悪性胚細胞腫瘍は,若年者に好発する.今回,我々は腹部腫瘤にて発見された21歳の症例を経験したので文献的考察も加えて報告する.症例は,腹部腫瘤にて近医より紹介.CT,MRIおよび,血中αフェトプロテイン(AFP)1807ng/mlなどより悪性胚細胞腫瘍を疑った.開腹手術を行ったところ,右卵巣は新生児頭大に腫大していた.術中迅速病理診断では,卵黄嚢腫瘍であった.左卵巣にも,皮様のう腫認め,右附属器切除,左卵巣嚢腫切除,骨盤リンパ節プローべ,大網部分切除施行した.右卵巣腫瘍が癒着していたダグラス窩腹膜に腫瘍壁が一部残存した.術後病理診断では,右卵巣は,mixed germ cell tumorでyolk sac tumor,embryonal carcinoma,mature teratomaが認められた.左卵巣は,mature teratomaであった.卵巣悪性胚細胞腫瘍2c期と診断し,術後,BEP(ブレオマイシン30mg day1,8,15,エトポシド100mg/m2 day1〜5,シスプラチン20mg/m2 day1〜5)療法を開始した.2コース終了後,AFPは,正常化し,3コース目後のCTでも特に異常を認めなかった.AFPも8.1ng/mlまで低下したため治療終了とした.化療終了より,1.5ヶ月の時点で,月経は再開していない.卵巣悪性胚細胞腫瘍は,片側性のことが多く,BEP療法などにより治癒可能とされ,妊孕性を温存した治療が可能で,治療後の出産例など報告されている.今回の症例も,術後BEP3コースで治療終了とできたが,卵巣機能については経過観察が必要である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3)
315-315, 2007
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