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第114回学術集会(平成19年10月14日(日))
【一般演題】
子宮体癌(1) 準広汎子宮全摘術中に生じたと思われる左下腿コンパートメント症候群の一例
中村 和人, 青木 宏, 平川 隆史, 村田 知美, 鹿沼 達哉, 峯岸 敬
群馬大学産婦人科
周術期における深部静脈血栓症に対してはガイドラインも作成されているほど,その予防に関しては注意が払われている.実際当院においても術中には,弾性ストッキングに加え間欠的空気圧迫法により,静脈血栓の予防に勤めている.しかしながら今回術中に左外腸骨動脈に血栓を生じ,それが原因と思われる左下腿コンパートメント症候群を経験したので報告する.患者は34歳0回経妊0回経産の患者(PS1)で,肥満,糖尿病,高血圧,既往に血栓症などのリスク因子は特に無い.子宮体癌にて根治術:準広汎子宮全摘,両側付属器切除,骨盤大動脈リンパ節郭清術を施行した.Figo IIIc期(pT1cN1M0:左閉鎖節と右外腸骨節に転移)で左閉鎖節が約4cmに腫大し,両側外,総腸骨節も拇指頭大に腫大していた.手術時間は6時間で,総出血量は557mlであった.患者は術後麻酔回復室で左下腿の疼痛を訴えたため,帰室後整形外科医により超音波検査施行するも,筋肉の浮腫を認めるが経過観察となった.翌日疼痛が増悪したためCT施行し,左下腿コンパートメント症候群を強く疑った.そのため緊急手術となり下腿減張切開術を行った.さらに原因検索のため血管造影行い左外腸骨動脈血栓症を確認し,フォガティー血栓除去カテーテルを用いて血栓を除去した.現在は定期的に化学療法を施行し,外来にて経過観察中である.今回の症例において考えられる原因としては,手術時の体位:砕石位である.当科ではこれまで基本的には砕石位にて手術を行ってきたが,文献を検索してみると砕石位による動脈血栓の報告もあり,術後の合併症を無くすために体位についても検討すべきことを教えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3)
315-315, 2007
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