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<< 学会誌へ戻る 臍上に達する巨大な腹部腫瘍は卵巣腫瘍，子宮筋腫等女性生殖器由来のものであることが多い．今回我々は心窩部に達する多胞性の巨大腹部腫瘍で画像上は卵巣腫瘍を疑ったが手術後病理所見で変性子宮筋腫であった一例を経験したので文献的考察を含め報告する．［症例］42歳．1経妊1経産．7ヶ月前に子宮がん検診受けた際に卵巣腫瘍を指摘されたが放置していた．その後，腹部膨満感が出現し，症状が強くなったため外来受診した．来院時腹部は心窩部より膨隆しており，腹囲96cmであった．超音波，CTにて横隔膜直下に及ぶ多胞性の巨大腫瘍であり，隔壁に一部肥厚を認めた．腫瘍マーカーはC125：122，CA19-9：5.0，CEA：1.4であった．巨大卵巣腫瘍の診断で手術を行い，手術所見で腫瘍はのう胞壁の薄い多胞性の腫瘍であった．淡黄色から褐色の漿液性の内容液を11500ml吸引し，内容液の細胞診は陰性であった．腹水を少量認めたが腹水細胞診は陰性であった．腫瘍は子宮底部に茎状に癒着しており，腫瘍より腹壁へ径1.5cmの索状物が出ていた．他にモリソン窩周囲の腹壁に軽度癒着していた．これらの腫瘍支持組織を切断し腫瘍を摘出し両側の付属器が正常であることを確認した．病理組織診では腫瘍組織は子宮底部の茎状の癒着部位と連続性があり，腫瘍支持組織の部位には血管を豊富に認めた．のう胞内面には被覆する上皮構造が見られず，平滑筋に類似する紡錘形腫瘍細胞が索状，束状に配列していた．免疫染色ではvimentin，desmin，αSMA陽性でありのう胞変性した巨大漿膜下筋腫と推定された． 日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3) 327-327, 2007 |
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