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第114回学術集会(平成19年10月14日(日))
【一般演題】
子宮筋腫 重症感染を伴った変性子宮筋腫の2例
松尾 典子, 松本 浩範, 井澤 朋子, 矢島 正純, 岩下 光利
杏林大学産婦人科
変性子宮筋腫は時に感染を起こすことがあり,治療に苦慮する場合がある.今回,重症感染を伴った変性筋腫の2例を経験したので報告する.症例1;45歳,未婚.主訴:不正出血.臍上に達する腹部腫瘤を認め,MRIにて15×15cm大の変性子宮筋腫と診断された.WBC:36500/μl,CRP14mg/dlと高値を示し,抗生剤を投与するも改善がみられず,入院5日目に子宮全摘術を施行した.5cm径の捻転した漿膜下筋腫と10cm径の液状変性した筋層内筋腫を認め,また漿膜下筋腫と子宮内腔は交通していた.症例2;54歳,1経産.意識障害(ショック状態)にて当院受診.CTにて20cm径の骨盤内腫瘤を認め,子宮付属器腫瘍が考えられ汎発性腹膜炎と診断.WBC:17500/μl,CRP25.8mg/dlにて緊急手術施行した.腹腔内に大量の膿性腹水を認めた.また7cm径の左卵巣膿瘍を認め,左付属器切除術を施行した.術後DICを発症し,治療を行うも全身状態改善しないため,再開腹にて腟上部切断術+右付属器切除術+腸管合併切除術及び人工肛門を造設した.一般に変性筋腫があっても感染することは稀であるが,何らかの誘因によりそこに感染を生じた場合には菌が増殖しやすい環境にあるため病巣を形成しやすい.今回は子宮内腔と交通していた筋腫が捻転していたことと,付属器膿瘍が変性筋腫に感染を生じる誘因となった可能性がある.変性子宮筋腫の感染に対してはとりあえず保存的に強力な抗生剤を投与して経過をみながら改善が見られない場合は積極的に外科的に原因の除去(筋腫核出術あるいは子宮全摘術)をはかることが重要と考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3)
328-328, 2007
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