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第114回学術集会(平成19年10月14日(日))
【一般演題】
不妊・内分泌 当院での不妊治療における多胎率の推移
一瀬 俊一郎, 高井 泰, 松永 茂剛, 伊東 宗毅, 末永 昭彦, 林 直樹, 馬場 一憲, 関 博之
埼玉医科大学総合医療センター産婦人科
【目的】不妊治療による多胎妊娠は周産期医療を圧迫するため,これを減少させることは喫緊の課題である.近年,生殖補助医療(ART)における選択的単一胚移植(eSET)が多胎率の減少に有用であることが報告されているため,当科の不妊治療による多胎率の推移とともに検討した.【方法】1998年から2006年の9年間における,当科の通常不妊治療(クロミフェン,HMG製剤)とART(IVF,ICSI,凍結胚移植)による多胎率の推移を検討した.2005年から部分的にeSETを導入し,2006年からは40歳以下で2個以上の形態良好胚を得た症例を対象に,原則としてeSETを施行した.【結果】クロミフェンによる治療での多胎率は4.6±6.2%(平均±SD)であり,年度ごとの差が大きかった.hMG-hCGでは13.9±4.9%であり,減少傾向は認めなかった.新鮮胚移植(IVF,ICSI)では16.4±4.0%であり,2006年(10.7%)は2005年まで(17.1%)と比べて多胎率の減少を認めたが,有意差は得られなかった.一方,凍結胚移植では,2003年から2005年まで(21.6%)と比べて,2006年(1.4%)では有意な多胎率の減少を認めた(P<0.001).2006年にeSETは231周期で行われ,臨床妊娠率は37.7%と良好だった.【考察】通常不妊治療では多胎率の減少は困難と考えられた.一方,新鮮胚移植と比較し,凍結胚移植では良好胚を用いたeSETを導入しやすいため,多胎率を減少させることができたと考えられる.可能な限りeSETを行うことが,高い妊娠率を維持しつつ多胎率を減少させるために有用であることが確認された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3)
330-330, 2007
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