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第114回学術集会(平成19年10月14日(日))
【一般演題】
子宮内膜症 治療の時期に配慮したWunderlich症候群の一例
笠井 健児, 本田 能久, 東條 龍一郎, 古谷 正敬, 藤本 喜展, 齋藤 優, 持丸 文雄
平塚市民病院産婦人科
【緒言】Wunderlich症候群は,重複子宮,盲端膣,片側腎無形成を三徴とする症候群で,患側膣内に経血が貯留し膣壁が進展され,初潮後に段階的に増悪する下腹部痛を契機に発見される疾患である.しかし,初潮開始直後では患側膣内の経血貯留が少なく明瞭なhematocolpoを呈さないため,診断・治療が遅れる可能性がある.われわれは,初潮開始直後(11才)に下腹部痛を訴え本症候群と診断したが少量の留血穿刺吸引に留め,3年後に内視鏡などを用い確定診断に至り根治手術を行った一例を経験したので報告する.【症例】患者:11才女性.初潮後の下腹部痛を主訴に来院した.経腹超音波断層・MRIにて膣壁右側に小さな血液貯留・同側腎無形成・重複子宮を認めHWW syndromeと診断した.全身麻酔下に経膣的精査および手術を試みたが,十分な所見を得られず,結局少量の留血穿刺吸引に留めた.3年後,身体の成長を待ち,全身麻酔下に経膣的精査および手術を行った.経膣超音波断層下に貯留を確認し,まず18G針にて穿刺を行った.次いでimage下に同針より子宮卵管造影用の造影剤を注入し盲端膣・右子宮頸部体部・右卵管を描出した.レゼクトスコープにて膣中隔を穿刺し盲端膣内に右子宮膣部を確認し,確定診断に至った.スコープにて盲端膣内を観察しながら中隔の切除範囲を決定し切除した.現在,外来にて経過観察中である.【考察】膣中隔を切除することが最善の治療法であるが,初潮開始直後では確定診断が難しい場合もあるので,患者の成長を待つことでより的確な検査の実施と正確な診断が可能となる可能性がある.また,切除に際し,image下造影や内視鏡を併用することでより的確に切除が可能である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3)
333-333, 2007
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