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第114回学術集会(平成19年10月14日(日))

【一般演題】
良性腫瘍
美容外科的開腹法と閉腹法(小さな創で大きな視野を得る方法)


小島 俊行, 伊藤 正典, 中山 裕敏, 北條 智, 柿木 成子, 中田 真木, 安田 孝
三井記念病院産婦人科


 帝王切開を始め良性疾患に20年間行っている基本的開腹法,閉腹法につき我々の方法を述べる.本法では10〜12cmの皮膚横切開創で筋膜・腹膜は臍直下まで縦切開を行い,術野が大きく得られ,閉腹法では肥厚性瘢痕ができにくいよう美容外科的皮膚縫合を行う.その特徴は,1)筋膜から脂肪層を剥離するので,同一皮膚切開創でPfannenstiel横切開に比べ術野が大きい,2)創部離開が生じにくい,3)創部が目立ちにくく,抜糸・抜鈎が不要で早期退院が可能,である.閉腹方法は,縦切開した筋膜を縫合後,1)筋膜と脂肪層との間の死腔を3-0 Vicryl丸針にて4〜8針結節縫合し,ドレーンを皮膚切開創とは別の部位から挿入する,2)脂肪層を3-0青ナイロン(または3-0 Vicryl)丸針にてのノットを筋膜側とするように約2cm間隔で結節縫合を行う(減張縫合),3)真皮を4-0白ナイロン(または5-0 PDS)角針付きにてノットを筋膜側として約1cm間隔で結節縫合を行う(真皮縫合),4)皮膚表面の創がずれないようにステリストリップテープにて固定する.子宮全摘術症例で最大の子宮筋腫は1.3kg(小児頭大)であった.瘢痕の予防には,術後2,3か月目からドレニゾンテープの貼付や,肥厚性瘢痕の既往例では,トラニラスト300mg/日を術前から術後1年まで投与することもある.1年後まで観察し得た24例中,肥厚性瘢痕形成例は6例で幅は平均2mm,18例は瘢痕を認めず,うち3例は一見創部が不明なほど,良好な創傷治癒であった.現在までこの方法を行っているが,長期的な術後後遺症はない.肥厚性瘢痕の既往例では,縦切開術の閉腹時にも本縫合法を用い,通常のPfannenstiel横切開や腹腔鏡下手術の皮膚縫合にも用いている.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3) 337-337, 2007


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