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第114回学術集会(平成19年10月14日(日))
【一般演題】
良性腫瘍 Peutz-Jeghers症候群に合併したlobular endocervical glandular hyperplasia(LEGH)の2症例の検討
高澤 環志, 竹井 裕二, 大和田 倫孝, 藤原 寛行, 有賀 治子, 永井 崇, 野中 宏亮, 町田 静生, 鈴木 光明
自治医科大学医学部産婦人科
【はじめに】Peutz-Jeghers症候群は,消化管のポリポーシスと皮膚粘膜の色素沈着を特徴とする常染色体優性遺伝性疾患で,婦人科領域では子宮頸部悪性腺腫が合併することが知られている.我々は,Peutz-Jeghers症候群に悪性腺腫と類似した良性疾患であるLEGHを合併した2症例を経験したので報告する.【症例1】26歳,未婚,未妊娠.9歳でPeutz-Jeghers症候群と診断された.2006年9月,小腸内視鏡検査で多発ポリープが発見された.精査の一環で施行された腹部CTで,子宮頸部の多発嚢胞がみられたため,当科紹介受診となった.腟鏡診では,子宮頸部は軽度に腫大し,頸管粘液は透明でやや増量し,軽度の粘稠性を呈していた.MRIでは子宮頸部に0.5〜1.5cm大の嚢胞が多数みられた.診断目的で10月に円錐切除術が施行された.【症例2】35歳,未婚,未妊娠.2007年2月,腸重積の診断で緊急手術となった際に,小腸の多発ポリープと口唇,指尖に色素沈着を認めたため,Peutz-Jeghers症候群と診断された.緊急手術前に施行した腹部CTで,子宮頸部の腫大が認められたため,当科紹介受診となった.内診で,子宮頸部上唇を中心に硬い腫瘤が触知された.細胞診で腺癌が疑われたため,4月に円錐切除術が施行された.【組織像】円錐切除標本の組織像は2症例とも類似しており,小様構造を示す頸管腺の増殖が著明で,嚢胞性に拡張した部分や乳頭状発育を示す部分が散見された.しかしながら,内頸腺領域を超えての発育はみられず,また腺細胞の核は小型で,異型もほとんどみられなかった.以上より,悪性腺腫は否定的で,LEGHと診断された.現在,腫瘍外来にて定期的な観察を行っている.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3)
337-337, 2007
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